冒険者ギルドとマジックバック
冒険者ギルドの買い取りカウンターは色めきたった。C級魔石をこれだけの量を納品したからだ。
C級モンスターとなると耐久力も高くなりC級冒険者のパーティ4人で1日4〜5体倒すのが限度のようだ。このペースで毎日頑張ってもB級冒険者になるためには3,000日かかる計算になる。C級冒険者のほとんどがBランク冒険者になる事を諦め、一つ下のランクのDランクダンジョンを狩場にしている人が多い。
通常ではCランク冒険者が最終目的のランクになっている。Cランク冒険者になる人も全体の1%弱である。
そのためC級魔石の納品は限りなく少なくなっている。C級魔石を46個も納品した僕たちに色めき立つのは当たり前だった。
まだ朝早い時間ではあるが、このまま買い取りカウンターにいると目立つためギルドに頼んで個室で納品することをお願いした。
すぐに了解してくれて個室に案内される。これで少しは悪目立ちしないだろう。
ノックと共にお茶を入れた受付の女性の方が入室してきた。僕の冒険者ギルド登録をしてくれたお姉さんだ。
「ギルド長に言われて今後アキさんの買い取りはこちらの部屋で行うことにしました。またアキさんの担当はこれから私ナギが専任でさせていただきます」
お茶を出した後、丁寧に挨拶された。ナギさんっていうんだ。初めて知ったよ。
「ありがとうございます。いつも言っておりますが目立ちたくないためお言葉に甘えさせていただきます」
「当ギルドとしましてはこれだけのC級魔石を納品してくれる冒険者様に便宜を図るのは当たり前です。どうぞよろしくお願いします」
「ナギさんが担当になってくれて、とても嬉しく思います。こちらこそよろしくお願いします」
「それでは早速今日の買い取りとギルドポイントの加算をさせていただきますね」
僕とミカはC級魔石46個と2人のギルドカードを渡した。
「それでは1,380,000ミラはアキさんのギルドカードに入れますね。ギルドポイントはC級魔石22個分の220,000ポイントをミカさんに入れてD級冒険者に昇格。残りのC級魔石24個分の240,000ポイントはアキさんのギルドカードに加算します」
そう言ってナギさんは魔石とギルドカードを持って退出した。
「ギルドの担当だって」
「まぁあれだけC級魔石を持ち込んだからね。アキくんの蒼炎が規格外ってことだね」
お茶を飲んで待っているとナギさんが戻ってきた。
「それではこちらが新しくなったミカさんのギルドカードです。Dランクからギルドカードは白銀製になります」
ミカは青銅製から白銀製になったギルドカードを嬉しそうな顔をして受け取る。
「見てみて!アキくんと同じ白銀製のカードだよ!」
「これでミカも一端の冒険者だね。おめでとう」
ニコニコ顔でギルドカードを眺めている。
こんなに喜ぶとは思わなかったな。ミカのギルドランクを上げて良かった。
ミカが落ち着くのを待ってナギさんが口を開く。
「それでですね。冒険者ギルドとしましてはこちらのカバンをお貸ししたいと思いまして」
そう言って出して来たのが革製のリュック型のカバンだった。
「カバンならもっと大きいの持ってますよ」
僕がそう言うと、したり顔でナギさんが喋り出す。
「こちらはマジックバッグです。容量は100立方メトル入ります。現在、魔石の運搬が大変じゃないですか?」
「これがマジックバッグですか!初めて見ます。使わせてもらって良いのですか?」
「どうぞ無料でお貸しします。これはアキさんに対してのギルドの先行投資ですから。お金が貯まったら買い取っていただいても良いですよ」
「どのくらいするんですか?」
「このくらいの容量なら2,000万ミラですね」
「やっぱりそんなにするんですね。考えておきます」
「マジックバッグの使い方は入れたものを思い浮かべながら手を入れると取り出せます。何を入れたか忘れた場合は、カバンの中に手を入れると中に入っているものが頭に浮かんできますので安心してください」
僕たちはナギさんからマジックバッグを受け取り冒険者ギルドを後にした。
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