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蒼炎の魔術師 〜冒険への飛翔〜  作者: 葉暮銀
王都センタール
302/484

公爵家の役割り

次の日の午前中にファイアール公爵家から迎えの馬車がきた。

馬車に乗り込みファイアール公爵家に向かう。

ファイアール公爵家の屋敷の応接室に通される。

既にファイアール公爵家宗主のシンギ・ファイアールが待っていた。


「よく来てくれたアキ殿。この度はAランク冒険者に昇格してくれて本当に嬉しい。まずは座ってお茶でも飲んでください」


そういってソファを勧められる。

柔らかいソファだ。

お茶を一口飲むとシンギは話し出した。


「アキ殿はAランク冒険者になってから国王陛下に会ったそうですが、どの程度の事を聞いたのですか?」


「Aランク冒険者になると神獣の試練を受ける事になる事と、王都センタールに黄龍が封印されている事、あとは各公爵家が神獣に魔力を捧げていると言う事ですね」


「そうでしたか。それでは各公爵家が神獣にどのように魔力を捧げているかはお聞きしませんでしたか?」


魔力の捧げ方?

そういえば聞いていない。

シンギは暗い顔をした。


「魔力の捧げ方はその命を持って捧げます。魔力は髪に宿ります。神獣によって頭を丸齧りにされます」


ま、丸齧りって!?


「ここで公爵家の子供について話さなければなりません。公爵家で生まれた男子は最も高い魔力を持っている者が次の宗主となります。その他は神獣へ魔力を捧げる事になります。神獣へ魔力を捧げないで済むのは次期宗主と質の悪い魔力持ちだけです。公爵家とは神獣への供物を捧げるために存在しています」


シンギは淡々と話し続ける。


「公爵家の宗主の子供は1番良質な魔力を持つ1人を後継に残し、一定の魔力がある子供は神獣への供物の運命です。供物は成人になる前の12〜14歳が1番良質な魔力となります。公爵家の子供が対外的に存在すると発表されるのは満五歳になってからです。発表されるまでは子供の中で、壮絶な魔力の質の争いが行われます。供物として選ばれた子供は物心がつく前に外に出され、公爵家から雇われた人間が親となり、平民として育てます。供物になる人を預かり育て、実際に供物となると莫大なお金が公爵家から支払われます。平民となって育てられた子供は12〜14歳になると拉致をされて供物となる。今現在も続いている事です」


そういえばガンギが5歳になるまで、僕に弟がいる事を知らされてなかった。

いきなり5歳の弟が現れたのを覚えている。


「一定の魔力が無いと供物の価値がありません。アキ殿の場合は髪色が水色だったため火属性が無いと思いました。南の神獣は火の属性を捧げる必要がありますから。また外に出して育てたいという使用人もいませんでしたから」


僕は供物にもなれない役立たずという事だったわけだ。

待てよ。

供物になる人間が平民として育てられる?

平民だけど良質な魔力を持っている事になる。

そんな馬鹿な、僕は恐る恐るシンギに確認を取る。


「確認を取りたいのですが、僕の兄弟はガンギくんだけですよね?」


「アキ殿とガンギとの間に1人息子がいる。アキ殿の一歳下だが学校の学年は同じはずだ。名前はトウイだ」


その言葉を確認した時、思考が止まった。

そんな馬鹿な、そんなはずがないじゃ無いか!


「アキ殿が生まれた時、髪色が水色でな。それですぐに次の子の必要があった。その10ヵ月後に未熟児でトウイが生まれた。真紅の髪色だった。その1年後にガンギが生まれた。ガンギの方が魔力の質が高いため、ガンギが生まれてすぐにトウイは平民として育てられた。将来の供物になる為にな」


ヴィア主任がシンギに質問をする。


「先程、供物になるのは12歳から14歳と言うのは何か意味があるのか?」


「15歳になると魔力が落ち着いてしまい神獣が魔力を吸いにくいそうです。12歳未満ですと魔力が育っていないからですね」


僕は声を振り絞ってシンギに確認した。


「まさか、トウイは神獣の供物になるのですか?」


「当然だ」


有無を言わせないその言葉。

シンギの瞳の奥に公爵家の闇が潜んでいる。

僕はその瞳にゾッとした。

しばし沈黙の後、シンギが口を開く。


「本当ならトウイは王都魔法学校に入学させずに12歳になったところで供物にする予定だった。アキ殿が現れたため、猶予を与えてみただけなんだ」


トウイの笑顔が頭に浮かぶ。


「なんでそんな大事な事を教えてくれなかったんです!それならもっと急いでAランク冒険者にだってなったのに!」


怒鳴る僕に冷静に答えるシンギ。


「古代の誓約なんだよ。これについてはAランク冒険者になったものしか話せないんだ。神獣との契約なんだ」


「トウイが供物になるのはいつなんです!ならないで済む方法はないんですか!」


「トウイは平民として育てる時に神獣と供物になる契約を終えておる。15歳になる前に供物になる運命だ」


シンギがゆっくりと言葉を口にする。


「ただ一つだけ方法がある。封印されている黄龍を倒して、この負の遺産を解消する事だ」


「トウイが供物になる猶予はあとどのくらいなんです」


「トウイは3月29日が誕生日だ。その前日までとなるな」


あと1年3ヶ月か。

【白狼伝説】に出てくる黄龍に勝てるのか?

やれるのか?

いややるしかないのか。

いややるんだ!

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― 新着の感想 ―
[一言] アホやん。1時の感情でなにやってんだか…。 物語、ご都合主義だからできたことやが、普通ムリじゃろ。 ちょっとここにきて無理やり終わらせに来た感じがあるにゃー
[一言] このシステムでよく公爵家続いたな。次期当主が魔力の高い子供作る前に死んだら終わりじゃないか。
[一言] タイムリミットが作られたか・・・! 厄介な婚約者をひきとってくれた恩人のためにも頑張らないとな
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