暴風雨ダンジョン
今日はアクロの南門から抜けて3キロルほど歩いたところにあるDランクダンジョンの暴風雨ダンジョンに来た。
暴風雨ダンジョンと言われているが実際に暴風雨が吹いているわけではない。ここはDランクモンスターのオーガと、同じくDランクモンスターの大猪型のビッグボスが出没する。
オーガは2メトルを超える巨漢のモンスターで棍棒をもって暴れ回る。その様子を暴風に見立てている。またビックボスは大猪型のモンスターで、10頭ほどの群れで行動する。敵を見つけると群れ全体で一心不乱に突撃してくる。これを暴雨に見立てている。
オーガとビックボスの強力な攻撃力が暴風雨ダンジョンと呼ばれる由縁である。
ちょっとした油断がパーティを全滅に導く。これがDランクダンジョンだ。
ここのダンジョンは通路が広い。横幅は10メトル。高さは4メトルはありそうだ。これならオーガもゆったり徘徊できるだろう。
暴風雨ダンジョンに入ってすぐにビックボスの群れに遭遇した。横に広がってこちらに突撃してくる。
蒼炎の有効範囲はこれまでの経験値から着弾点から半径3メトルほど。突っ込んでくるビックボスの群れの左側の3メトルほどを狙って蒼炎を撃ち込む。熱い皮下脂肪を持っているビックボスだが蒼炎の有効範囲にいた個体は消し炭になった。
右側の3頭ほどが生き残ってこちらに突っ込んできた。
ミカが僕の3メトルほど前に出てカイトシールドを構え、呪文を唱える。
【金剛の心、我らを守護する壁となれ、障壁!】
ミカの前方に3メトル四方の淡く光る障壁が出現した。金剛系の防御魔法の障壁だ。
こちらを目指して突進していたビックボスの3頭は障壁にそのまま突っ込んだ。
ダメージが酷かったようでふらついている。障壁には全くダメージがない。
「蒼炎を撃ちこむからタイミングを合わせて障壁を消してくれ」
頷くミカを確認し、蒼炎の呪文を唱える。
【焔の真理、全てを燃やし尽くす業火、蒼炎!】
ミカは呪文が終わる直前に障壁を消してバックステップで距離を取る。
ふらついているビックボスに蒼炎がぶつかり白い灰と黒焦げになった。
「ありがとうミカ、助かったよ」
「パーティ組んで初めて私が仕事した感じね」
そう言うとミカは笑顔をみせる。魔石を拾ってみると11個のD級魔石があった。E級魔石で換算すると110個になる。ビックボスに突っ込まれる恐怖はあるけど美味しい狩場には間違いない。
ステータスカードをミカに渡す。
「障壁の魔法は消費MPが3か。私の最大MPが33だから、あと10回魔法が使えるわね」
「一応安全を考えて8回にしておこう。それで今日は終了だね」
「ステータスカードで魔法の回数が管理できるのは大きいわね。安心して魔法が使えるわ」
「今度はオーガと戦ってみようか」
「そうね。今日は様子見だもんね」
通路を進んで行くと30メトル先にオーガが一体現れた。速攻で蒼炎の魔法をぶつける。一瞬のうちに白い灰となり魔石となった。オーガは身体が大きいため狙いやすい。近寄らせなければ楽勝みたいだ。
暴風雨ダンジョンをめぐりわかったことはオーガは基本1体で活動している。ビックボスは9〜12頭で群れを形成している。
オーガは簡単に倒せるけど蒼炎の魔法一発でD級魔石1個。ビックボスは突っ込まれる危険はあるけど蒼炎2発と防壁の魔法1回でD級魔石10個ほど。ビックボスのほうが効率が良いな。怖いけど…。
結局、この日の討伐はオーガを22体、ビックボスの群れを4回倒し、42頭を数えたところで卯の刻になり終了した。
暴風雨ダンジョンを出てアクロに向かう間に今日の収穫を整理する。D級魔石が64個。お金は192,000ミラ。ギルドポイントは64,000ポイント。
今日はどちらもミカのギルドカードに入れておこう。まずはミカをD級冒険者にするのを目指そう。女性冒険者だから舐められないようにしないとね。
レベルは2人共1つずつ上がった。さすがD級モンスターってことかな。
ビックボスの突撃は怖かったけど、まずは上々のダンジョン探索に満足してアクロの南門をくぐった。
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