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蒼炎の魔術師 〜冒険への飛翔〜  作者: 葉暮銀
王都センタール
273/484

エルフ排斥運動

次の日の朝も鍛錬後にジャンプ力と力を測定する。

ヴィア主任ってやっぱり研究者なんだと思う。

焦土の渦ダンジョンでのサラマンダー討伐は安定している。

今日もサイドさんはMP切れで休憩になった。

ただし昨日より2発多く撃てた。

ヴィア主任はこの事からサイドさんのレベルが上がったのでは無いかと考察している。


今日もサラマンダーを200匹以上討伐した。最後の方のヴィア主任は目に見えて速くなっていた。

2日連続の200個以上のC級魔石の納品にリーザさんはホクホク顔になる。


「毎日、ご馳走を作らせていただきますから、この調子でお願いします」


そうリーザさんに言われると頑張ろうかとなってしまうな。僕は全然倒してないけどね。


今回の納品でヴィア主任がCランク冒険者に昇格した。このままBランク冒険者を目指せば良いのかな?


冒険の後のジャンプ力と力の測定はやはりヴィア主任は格段に上がっている。

サイドさんは少しだけ上がっているようだ。


明日からはサイドさんもサラマンダーに接近戦をする予定。

その事はヴィア主任の鶴の一声で決まった。

顔が少しだけ強張っているサイドさん。

研究の助手って大変。


やはり大人のヴィア主任とサイドさんがいると気持ちに余裕ができる。

安心できると言っても良い。

こんな冒険者パーティなら良いなぁと感じた。


リーザさんの作ってくれた晩御飯を食べ、ワインを飲みながらヴィア主任が話を始めた。


「最近はエルフによるダンジョン活動が停滞していてなぁ」


僕が尋ねる。


「どうしてですか?」


「なかなかエルフに向いているダンジョンが無いんだよ。エルフは風属性だ。金属性に弱く、他の属性はそれなりの相性だ。北のコンゴは金属性だし、南のボムズは食が合わない、東のアクロはカフェの街だ。西のカッターはエルフ排斥運動があるしな」


「王都はどうなんですか?」


「王都のモンスターは耐久力のあるモンスターが多いからな。風属性には厳しいんだよ」


だいぶ酔いが回ってきたのか、ヴィア主任は饒舌だ。


「ほとんどのエルフはカッターでダンジョン活動をしていたんだけどな。あんな事が無ければなぁ」


「あんな事ってエルフの排斥運動ですか?」


「アキくんとミカくんとパーティを組むなら話しておいたほうが良いな。あれは西の守護者のエアール公爵家とその分家のプライドが原因と思われる。風の属性は俺たちのほうが優れているってな。エルフの風属性は紛い物って奴らは言うから。その頃、私は知り合いに頼まれて冒険者ギルドカッター支部のギルド長をしていたんだ。エルフ排斥運動については、ダンジョン活動をしない貴族が何を言ってるって私は思ったよ。そう思っていたのだが、味方だと思っていた平民もその運動に多く賛同してな。考えてみれば、ほとんどの冒険者は魔法が使えない平民だ。それが魔法が使えるエルフの冒険者に対して鬱屈した思いを持った者がそれなりにいたようだ。あとは大きな流れに逆らえなかったよ。その時兄さんもカッターで魔道具職人をしていたんだが、兄さんは北のコンゴに逃げた。私は王都に逃げてきたんだ。私を擁護してくれた味方は結構酷い目にあったみたいだな。王都でどうするか悩んでいた時に研究所に潜り込む事ができて今に至るって感じだ。まぁ大して面白い話じゃないな」


そう言ってヴィア主任はグラスのワインを飲み干した。


「結構立ち直るのに時間がかかったな。軽蔑していた貴族の運動に、味方だと思っていた平民に裏切られた形だから。まぁ今は昔の事だからと、言い聞かせているよ」


そう言ってまたワインを注いで飲み始める。

僕は人との付き合いが少なかった。今年1年で新しくできた付き合いだ。裏切られた経験が無いからヴィア主任の心が実感できない。それでも辛かった事だけはわかる。

そう思いながら僕は食事を続けた。



朝の鍛錬をし、焦土の渦ダンジョンに向かう用意をする。

今日のサイドさんは昇龍の杖ではなく、昇龍の剣を装備している。

サイドさんの顔は少し青褪めている。


焦土の渦ダンジョンに入る。

F級モンスターのカーサスが襲ってくるので軽く倒す。

サイドさんは大丈夫かな?

貴族は剣術を馬鹿にしているところがあるし、騎士団でもない魔法使いの人が接近戦をする事は無いしな。


左側からサラマンダーが出てきた。

3匹いる。顔が蒼白だが昇龍の盾を構えてゆっくりとサラマンダーに近づくサイドさん。

サラマンダーの火の玉をしっかりと昇龍の盾で防いでいる。

今のところは危なげない。

剣の間合いに入った。

昇龍の剣を振り上げるサイドさん。

確実にサラマンダーを倒していく。

サラマンダーが3個の魔石に変わった時、サイドさんはその場にへたり込んだ。


慌てて近づいたら、腰が抜けてしまったようだ。

相当、緊張していたんだな。


ヴィア主任はそんなサイドさんに言う。


「だから問題無いと言ったろ!早く次行くぞ!次!」


僕は改めて研究の助手って大変だと感じた。


この日サイドさんはサラマンダーを150匹倒した。

ギルドポイントはサイドさんに全て付ける事にした。

サイドさんは学校の授業でダンジョン活動に行くために冒険者ギルドに登録していた。ランクはGである。

C級魔石150個、ギルドポイントで150万ギルドポイント。いきなりDランク冒険者になってしまった。

このギルドポイントについては問題無いのかなぁ。

パーティの誰に付けても良い事になっている。

ギルドランクの特典はDランクで平民でも奴隷購入可、Bランクで貴族並みの扱いくらいだからかな。

でも僕が普通の平民をBランク冒険者にする事もできるよね。

でもそんなBランク冒険者なら冒険者ギルドも守ってくれないか。

善意で成り立っているシステムかな。

白銀製のギルドカードを受け取って喜んでいるサイドさんを見ながら、そんな事を僕は考えていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヴィアって主人公に逃げんな大人頼れとかほざきながら自分は逃げてんのかよ 一族でエアール家を見守ってた癖に総スカン食らうとかエルフって嫌な奴らなんだろうな
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