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蒼炎の魔術師 〜冒険への飛翔〜  作者: 葉暮銀
王都センタール
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悲恋の魔法と送別会

ヴィア主任が僕の冒険者パーティに入る事が決まると、オウカさんがエンバラの里から少し離れた森に僕たちを連れてきた。


少し歩くと祠があった。

オウカさんは祠を開けて、ヴィア主任を呼ぶと中を見るように指示する。

横から確認すると石碑が入っているようだ。


オウカさんは説明してくれる。


「この石碑はソフィア・ウォレールが晩年開発した魔法の文言が刻まれている。風の属性を色濃く持っているエルフならば問題なく発動できるはずだ。効果は火魔法の威力を上げてくれる。しかし通常の火魔法だとその火が逆に消えてしまって意味が無いものになる。単体で唱えてもそよ風が吹くだけだ。蒼炎と併用する事だけを念頭にした魔法だ」


ヴィア主任が石碑を見ながら呪文の文言を読み上げる。


【風は愛、火と目合(まぐわ)い激しく狂え、烈風!】


軽いそよ風が吹いた。

オウカさんが話をする。


「エルフと人間の恋は悲恋(ひれん)になる。子供が殆どできないし、生きてる時間が違い過ぎる。これはウルフ・リンカイに対するソフィア・ウォレールの心が感じられる呪文だ。ウルフ・リンカイが作った蒼炎。その蒼炎と激しく愛し合いたい。魔法だけで良いから一緒になりたい想いが詰まった魔法だ」


僕は2,000年前の悲恋(ひれん)について心を馳せた。




エンバラを発つ予定は明日にした。今日は僕たちの送別会を開いてくれている。

ヴィア主任の僕達の冒険者パーティ参加を受けて、オウカさんは上機嫌だ。

ずっと僕に話しかけてくる。

シニアさんはヴィア主任にこれからの注意を事細かに話している。もうあれは説教だな。

そう思い夕食を食べていたが最後に疑問に思った事をオウカさんに聞いてみた。


「蒼炎の開発者の説明の時とダンジョンの事を説明してくれた時に、【憎きカフェ・ウォータール】って言ってましたがカフェに対して何かあるのですか?」


「なんじゃアキ殿は【白狼伝説】を読んでいないのか?ソフィア・ウォレールとカフェ・ウォータールは犬猿の仲だ。ソフィア・ウォレールからカフェの子孫とは仲良くするなと伝えられている。だからエルフはその子孫の街であるアクロには余程の事が無いと行かないな」


「【白狼伝説】ではカフェは家名を持っていません。ウルフもガラムもです。ソフィアだけウォレールの家名を持っています。オウカさんはカフェの家名をウォータール、ガラムの家名をアイアールと言いました。今のウォータール公爵さんやアイアール公爵家とは関係があるのですか?」


「どちらも子孫だな」


あっさり答えるオウカさん。

近くの紙に書いて説明してくれる。


リンカイ王国→ウルフが祖先

ウォータール公爵家→カフェが祖先

アイアール公爵家→ガラムが祖先

ファイアール公爵家→ウルフの次男が祖先

エアール公爵家→ソフィアが目をかけた少年が祖先


「まぁこんなもんかな。ここエンバラにはウルフやカフェ、ガラムが亡くなった後もソフィアが生きていたから、結構その頃の歴史が残っているんじゃ」


陽気に話をするオウカさん。


「ソフィア・ウォレールに頼まれた事は、蒼炎の魔法の使い手のパーティに自分の子孫を入れる事。次がエアール公爵家を見守り大切にする事。最後がカフェの子孫とは仲良くするなじゃ」


少し悲しげな雰囲気になるオウカさん。

ゆっくりと話を紡ぐ。


「2番目のエアール公爵家を見守り大切にする事があるから、先代のエンバラの長の一家は皆殺しにされてしまったがな。私の夫もその時に亡くなったよ」


そう言ったオウカさんは「湿っぽい話はいらないな。楽しい話をしよう」と言って違う内容の話を始めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 子々孫々にまで私怨で余計なものもちこむなよなぁ…
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