兄妹の口喧嘩
ザルツさんが発した言葉はヴィア主任に衝撃を与えたようだ。
ヴィア主任はザルツさんに「何を言ってるんだ!兄さん!遂にイカれたのか!」と言えば、ザルツさんは「イカれているのはお前だろ!遠いところから来た兄に言う言葉か!」と言い返す。その後、2人は罵詈雑言を吐き続けた。
2人が落ち着いてから来客スペースに移った。
分かった事はザルツさんはヴィア主任のお兄さん。
ザルツさんは北の中央都市のコンゴで魔道具職人をしている。
ザルツさんはステータスカードを開けるため王都まで来た。
ここまでは良かった。ザルツさんとヴィア主任の故郷の話になるとすぐに2人の言い合いが始まる。
ザルツさんが言う。
「そもそも何でお前は蒼炎の魔法が使える少年がいる事を里に連絡してないんだ!」
ヴィア主任が言い返す。
「そんな事、私知らないもの!知らない事を出来るわけないでしょ!」
ザルツさんが負けずに言い返す。
「お前はいつから里に帰ってないんだ!それにお前は定期的に里と連絡は取っているのか!お前がそうだから私が姉さんに怒られるんだぞ!」
ヴィア主任がヒートアップする。
「あんな里に連絡するわけないでしょ!やっぱり兄さんはイカれてるのよ!」
兄妹の言い合いに居た堪れなくなり、僕は言葉を発した。
「あの、僕たち席を外したほうがよろしいでしょうか?」
ザルツさんは僕の言葉に反応した。
「ちょっと待ってくれ。悪いが私が里から頼まれている事を話させてくれないか?」
「はい、大丈夫です」
「実は私は里から、蒼炎の魔法が使える人がいた場合、里まで連れて行く事を頼まれている」
里ってエルフの里の事だよな。西の中央都市カッターから馬車で2日ほど進んで、歩いて1日くらいかかるはず。
ザルツさんが言葉を続ける。
「ただ君は王都魔法学校の生徒だ。授業があるから、今すぐ里に行けない。早くて長期休みの8月になるだろ?だから里の責任者の代理が君に会いにくる可能性が高くなると思う。僕はこれから直ぐに里に行かないといけない。カッター経由で行けば10日程度の時間かな」
ザルツさんの話なら僕はここにいるだけだ。特に問題はないか。
「分かりました。僕はここで待っていれば良いのですね。それで里、あ、エルフの里ですよね?その責任者の代理の方がもし来たら会えば良いのですね」
大きく頷くザルツさん。
ソファから立ち上がり自分の荷物を片付け始めた。
それを見ていたヴィア主任がザルツさんに強い口調で話す。
「兄さん!まさかステータスカードを開けずに里に出発するつもりかい?」
「お前も姉さんの怖さは知っているだろ。少しでも油を売ってることがバレたら…。悪いが里から帰って来てからにしてくれ!」
そう言うとザルツさんは僕に「よろしく頼むね」と言ってヴィア研究室を出て行った。
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