ミカ・エンジバーグ打倒計画第1号
「ずいぶん気合いが入っていますね」
ミカは僕の木剣を軽くいなしながら話しかける。
そしてムキになった僕の上段からの切り落としを軽やかに交わしながらカウンターで僕の胴を打ち込む。
「また簡単にやられちゃったな」
僕はそうミカに言う。
「対人戦はモンスターとは違いますからね。アキくんはもう少し、相手を見た方が良いですね」
「僕は相手を良く見てないの?」
「そうですね。アキくんの剣の使用は今までダンジョンのモンスターと私との模擬戦くらいですからね。モンスター相手が多すぎた弊害かもしれません。モンスターは駆け引きしないですから」
「そうなの?でも火宮のダンジョンのボスイフリートは?凄いスピードで強い連続攻撃と体術だったよ」
「駆け引きは私がかけましたね。どうなんですかね。ランクの高いモンスターは駆け引きするんでしょうか?」
「するものと思って対策していた方が良いよね。じゃ、もう一本お願いします」
そう言って模擬戦が始まった。
学校の食堂で朝食を食べる。ユリさんはまだ1週間以上しないと帰ってこない。
接近戦の強化か。いろんな人と模擬戦するのが良いのかな?それともどこか剣術道場に通う?騎士団の訓練に参加もあるのかな?
学校生活で、時間が朝の鍛錬しか取れないか。休みの日を利用する?
取り敢えず、これは検討課題だな。
僕が【ミカ・エンジバーグ打倒計画第1号】を考えていたら、計画の当事者のミカから話しかけられた。
「今日の朝の鍛錬はアキくん、凄く気合いが入っていたけど何かあった?」
「昨日、これからの冒険を考えていてね。それにはやっぱり近距離の戦闘ができる事だから。蒼炎を使うにしても、相手に速いスピードで近寄られたら距離が取れるようにもならないと」
「私とアキくんの身体能力はあまり変わらないわ。あとは体格と技術力と経験の差ね」
「どれも一朝一夕で上手くいかないものだね。長い目で取り組むよ」
ミカは冒険者のパートナーだ。
その意識が僕は強くなっている。
それならば譲れないものが出てくる。
今に見ていろ!と思い、朝食を口に運んだ。
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