複雑な心境
実験が開始される前にミカが話しかけてきた。
「なんかバタバタしてしまったけど、改めてアキくんの言葉を信じ切れなかった事を謝りたいの。すいませんでした」
そう言ってミカは頭を下げた。
僕は、分かってくれた事に対する嬉しい感情、それ見た事かと嘲りたい感情、また元のような関係に戻れるかもという安堵感、何ともいえない複雑な感情を持った。
僕はどんな顔をしているのだろうか?
そんな事を考えながら口を開いた。
「ミカが分かってくれて僕は嬉しいよ。それだけで僕は充分だから。気にしないでいてね」
気にしないでと言ったくせに気にしろと思っている感情もある。いつから僕はこんな性格になったのだろう。元からなのかな?今まで人と付き合いが希薄だったから分からなかったのかもしれない。
そんな感情を隠して僕はミカに笑顔を見せる。
「もうそろそろ実験の開始だね。次の蒼炎はどんな感情かな?」
そう僕は言ってミカから離れた。
その後、10回蒼炎を撃ったが全て落ち着いた感情の蒼炎だった。半径は3メトルくらいで安定していた。
ただ、その落ち着いた感情にも違いがあるのが今回は感じられた。
なんだろう。間違いなく蒼炎を撃つたびに蒼炎の感情を一層近くに感じられる感じだ。
このまま蒼炎を撃ち続ければどうなるんだろう?不思議な事に恐怖はない。反対に楽しみでしょうがない。休みの日に蒼炎の魔法を撃ちに行こうかな。
僕は帰りの馬車の中で、ミカの事を考えていた。
僕はミカとどういう関係でいたいんだろう。
もやもやした気持ちを持ったまま馬車は研究所の前についた。
ヴィア主任とサイドさんと別れて学校の食堂に行った。
食堂で夕食を食べ帰宅した。
夕食後入浴し、リビングで雑誌を読んでいた。
向かいのソファに座りミカも雑誌を読み始めた。
会話が無く静かだった。
僕は雑誌の文字を目で追うだけだった。
僕は自分の言葉で形容できない感情でいっぱいだった。
ミカに「おやすみなさい」と言って自室に入った。
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