ヴィア主任の謝罪
「駄目です!そんなの絶対駄目です!そんな理由でアキくんの奴隷にならないでください!」
ミカの悲痛な叫び声だった。
虚を突かれたヴィア主任が口を閉じる。
無言の空気が流れた。
少し経ちヴィア主任が「うむ」と言ってから話し始めた。
「なるほど、確かにこれは私が悪かったようだ。私が奴隷になる案は撤回させてもらう。できれば許して欲しい」
態度が急変して突然謝罪をしたヴィア主任に焦り、僕は慌てて話し出す。
「ヴィア主任が奴隷にならないでくれるならそれで良いですよ。謝る必要は無いし、怒ってもいないです」
ヴィア主任は心痛な顔で口を開いた。
「アキくん。君からそう言ってもらえると助かるよ。だけど私は軽く考え過ぎてた。それにミカくんの想いを踏み躙る言動だった。これは研究の事になると周りが見えなくなる私の悪いところだ。ミカくん、改めて謝罪させてもらう。本当にすまなかった」
ミカに頭を下げるヴィア主任。
ミカは慌てながらヴィア主任に話す。
「私こそすいません。いきなり大きな声をあげてしまって。頭を上げてください。もう大丈夫ですから」
ヴィア主任は頭を上げ、ミカに「ありがとう」と言った。
そして僕の方を向いて話し始める。
「どれ、私の言動のせいで悪かったな。実験を再開する前に確認しておきたい事があったんだ。先程、蒼炎を発動させた時の感情を【喜びの感情と快楽の感情】と言っていたのだが、快楽の感情とはなんだね。どのような感情なんだ?」
そうヴィア主任に言われて恥ずかしくなった。射精したような感情とは。
僕は誤魔化すように言った。
「そんな事言いましたかね。何か良く覚えて無いんですけど…」
僕の目を凝視するヴィア主任。
こ、怖い。
確信した顔でヴィア主任は僕に言った。
「困るよアキくん、嘘をついては。これは実験なんだ。しっかりとしたデータを取りたいんだよ」
駄目だ。逃げられない。
諦めて重い口を僕は開いた。
「射精の感覚です」
「射精と言うと男性が性器から精液を出す時の感覚って事かな?」
僕は顔が赤くなり、か細い声で言葉を発する。
「はい、その射精です」
「分かった。なるほど興味深いな。アキくんもしっかりと実験に協力してくれないと困るぞ。蒼炎の魔法の研究は未知の魔法を調べることだからな」
そうヴィア主任は僕に言って、周りのスタッフに指示を開始した。
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