侵入者?
そのあと僕はまたウトウトしていた。
意識が覚醒したのは夜の深い時間だった。
横にはもうミカはいなかった。
窓際を見るとミカがカーテン越しに外を伺っていた。
庭には光の魔道具を付けている。薄暗い光を発するタイプだ。その薄暗い光がカーテンの隙間からミカの顔を映し出す。
真剣な表情をしている。
僕は無言でミカの近くに寄った。
ミカが小声で話しかけてきた。
「庭の反対側の方に数人の気配がするの。見てきたほうが良いかな?」
僕の頭はまだしっかり起きてないようだ。
ミカの言葉の意味を理解して完全に目が覚めた。
「人数が分かれば良いんだけど。それに何人か捕縛できれば良いけどね」
ミカが囁くように声を出す。
「私がここから庭に出て不審者に突っ込んでいくわ。足を一本切り落とせば良いでしょ。それで逃げられなくなるわ。アキくんは周りを警戒しながら庭に出てくれる。なるべく死角がない様にして私に少しずつ近づいてくれれば良いかな」
足を一本切り落とすって…。
無言でいる僕にミカが問いかける。
「どうしたの?アキくん?」
「いや、簡単に足を切り落とすって言ってたから」
そこでミカは気が付いて話す。
「そっか、アキくんは人を切ったことないもんね。モンスターばかり倒してきたからね。私は戦争経験者だから。たぶん、私が突っ込んで行ったら、向かってくる人と逃げる人、呆然と立ち尽くす人の3種類に分かれるわ。向かってくる人、呆然と立ち尽くす人、逃げる人の優先順位で無力化してみる。その後、アキくんは足を切られた人にポーションで治療してあげて。私は表に行って見張りか指示役がいないか確認するから」
ミカがドンドン指示を出してくれる。なんて安心感だ。
僕は頷いた。
ミカが僕を見て噛み含めるように話す。
「アキくんの剣術レベルなら普通の人では敵わないはず。だけど約束して。危なくなるようなら蒼炎の魔法を使うことを躊躇しないでね」
僕はこの市街地で蒼炎の魔法を使う気は全くないがミカを安心させるために頷いた。
「それでは私が庭に出たら、アキくんは周囲を警戒しながら移動ね。それじゃ行くわよ」
そう言ってミカは右手に【昇龍の剣】と左手に【昇龍の盾】を持った。
僕も同じ装備だ。
ミカは一つ頷くと庭に出て行った。
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