蒼炎の分析
朝日が眩しい。そしてクタクタだ。昼夜逆転の活動はやっぱり疲れてくるなぁ。冒険者ギルドから安らぎ館への帰り道。
「アキくん、ご飯食べながら今日の分析をしましょう」
朝日より眩しい笑顔でミカが言う。なんか嬉しくなってきた。
取り敢えず安らぎ館に着いてご飯を食べ始めた。
「今まで僕はソロでやっていたから何か気が付いたことがあったら言って欲しいな」
「今日というよりこれからの問題点かな?」
「そこまで考えてくれてるの?僕は結構場当たり的だから助かるよ」
「まずは分析ね。アキくんの蒼炎の破壊力は桁違いね。蒼炎の飛ぶスピードも速いし避けにくいわ。これからの問題はそれでも蒼炎を避ける魔物と呪文を唱えてる間にアキくんが攻撃されることだわ」
「呪文の詠唱の隙は分かっていたんだ。だからソロを卒業しようと思ってミカに出会ったんだから」
「出会ったんじゃなくて買ったんでしょ」
「そこは綺麗に繕っても良いじゃん」
「まぁアキくんの呪文の詠唱中は私がしっかり守るから大丈夫。蒼炎を避けるほどのスピードがある魔物が出たらヤバいかな。その時は逃げることも考えていこうね」
ちょうど話が終わる時にご飯も食べ終わった。
「じゃ今夜はオークダンジョンの制覇ね」
「了解。お湯をもらって身体拭いて寝るよ」
お湯をもらって自分の部屋で身体を拭く。さっぱりしたところで鍵をしっかりかけベットに潜り込んだ。
目を覚ますと夕方だった。茜色の光がカーテンの隙間から入ってきている。
今日はベッドにミカが入ってきていない。ホッとする気持ちと少しの寂しさを感じる。
備え付けの魔道具でお湯を沸かしお茶を入れる。
今日はオークダンジョンの制覇を目指す。最終ボスはオークキングだ。オークキングは通常のオークと違い身体が1.5倍ほどある。僕の倍くらいの大きさになる。防具は金属製のものを装備しているとの話だが蒼炎で通じるか少しの不安はあるなぁ。まぁ試して見ないとわからないか。初のDランクモンスターだから少し神経質になってるのかな。考え事をしていると扉のほうからカチャカチャと音がする。5秒ほどで扉が開く。
「おはようミカ。できればノックをして欲しいかな」
「あら今日はもう起きてたの」
「まあね。お茶でも飲む?」
「いただこうかしら」
お茶をミカに入れ今日のダンジョン制覇の打ち合わせを軽くする。打ち合わせといっても先手必勝で僕の蒼炎を撃ち込むだけだけどね。
暗くなってきたので一階にご飯を食べに行く。いつもどおり隅っこで目立たないように食べる。
部屋に戻り装備を身につけ冒険者ギルドに向かう。受付でオークダンジョンのMAPを5,000ミラで購入した。ミカに今までMAP無しでダンジョン探索をしていた事に呆れられてしまった。
「今まではオークが出るまでダンジョンをふらついていたからね。1〜2階は全て覚えたよ。3階はモンスターハウスしか行ってないや」
「アキくん、アクロに来てまだ1ヶ月弱だもんね。それでDランク冒険者になってるなんてね」
「今日はMAPがあるから真っ直ぐオークキングを倒しに行こう」
そろそろ良い時間かな。北の門に向けて歩き出す。ダンジョン探索を終えた冒険者がちらほら見えてくる。これからダンジョンに向かう冒険者は僕らぐらいだ。12歳の僕と容姿が綺麗なミカの2人組が皆んなとは反対方向に進むのは案外目を引いてしまう。怪訝そうな顔を向ける人もいるが無視してダンジョンに向かう。
「よし!」
1つ気合いを入れてオークダンジョンに足を踏み入れた。
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