ヴィア主任の説教2
ヴィア主任は真剣な顔で話を続ける。
「次に自分達だけで何とかしようとした事だ。私はアキくんの生い立ちを詳しく聞いている。ミカくんは分からないがある程度の推測はできる。ミカくんは戦争によって捕虜になり、身代金を払ってもらえず戦争奴隷になったんだよな。貴族が家族の身代金を払わないなんてよほどの事だ。ましてや国からも身代金が払われなかった。家族や国から捨てられた感情を持つかもしれない。また異国の地で戦争奴隷の立場に不安もあったと思う。この辺の心情は察して余りある」
悲しそうな表情になったヴィア主任。
静かに言葉を重ねる。
「そんな時、君達は出会っている。お互い1人ぼっちだったと推測する。周りを信用できない2人が主人と奴隷という絆で結ばれた。それは強固な関係になっただろう。君達2人をいつも見ていると良く分かるよ。しかし周りを信用できなくなってないか?ミカくんはアキくんより年齢が7歳上だ。そのためアキくんを自分が守らなければならないと強く感じているはずだ。でも1人で守る必要は無いんだよ。皆んなで協力して守れば良いじゃないか。肩の力を抜いて一度考えて欲しいな」
僕の顔を見てヴィア主任が言った。
「アキくん、君は12歳の学生だ。成人になるまではいくらでも周りの大人に甘えたまえ。苦しい時、困った時、悲しい時は素直に相談してくれ。それは当たり前の事なんだよ」
ヴィア主任は、僕とミカを見て笑顔になって言った。
「君達には信頼できる仲間を増やして欲しいんだ。私はその仲間に既になっていると勝手に思っている」
デスクで研究をしていたサイドさんにヴィア主任が声をかける。
「サイド、説教は終わりだ。こないだ本部からもらったお菓子があるだろう。皆んなで食べようじゃないか。湿った話の後はお菓子を食べながらの軽い雑談に限る」
そう言ってヴィア主任は、サイドさんの恋愛話を始めた。慌ててサイドさんがヴィア主任の口を閉じさせようとしていた。
余った午前中の授業はサイドさんを入れて4人で楽しく雑談をして過ごした。
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