難癖の付け方
僕は無罪ですと心を込めてヴィア主任を見て話す。
「でも僕たちは身に覚えがないですよ」
「君達は冒険者ギルドに登録した時に冒険者ギルドで注意書の冊子を貰わなかったかい?」
そういってヴィア主任はその冊子を出してくる。
「この冊子にはまぁ一般的な注意書きが大きく載っている。それは魔石の買い取りやギルドポイント、冒険者ランクなどについての説明がそれに当たる。しかしこれの最後の方のページには細かい字で冒険者規則が並んでいる。これは古代からある冒険者ギルドができた時から変わっていないそうだ。話は変わってしまったな。君たちはこの細かい文字を読んだかな?」
一応一度は目を通した。ミカも僕と同じくらいだ。それを伝えた。ヴィア主任が話を再開している。
「この冒険者規則第6条を読んでみよう。冒険者はダンジョンに積極的に行き、モンスターの討伐をし、魔石の収集に努めなければならない。次はこれだ」
そう言って違う箇所を指差して読み上げる。
「冒険者規則第35条、Bランク冒険者になった者は各支部のギルド長の助言を受け、ダンジョン探索に臨まなければならない」
「まずはこの2つから見てみよう。先に35条のギルド長の助言についてだ。この35条はギルド長がBランク冒険者をAランク冒険者に導くために書かれているんだ。たぶん君達もBランク冒険者になった時にギルド長と面会しているはずだ。その時にAランク冒険者を目指すように仄めかされたはずだ」
僕はどうだったかな。ギルド長からは軽く目指してみたらって感じだったなぁ。でもウォータール公爵家との面会の話はあったしな。ウォータール公爵家では確かにAランク冒険者を目指すように懇願された。
ヴィア主任が言葉を続ける。
「次に6条の項目、これは努力義務規定と言って、破っても罰則がないものなんだ。ついでに言うと本来の冒険者ギルドの趣旨から言えばBランク冒険者はこの6条を守る必要が無い」
お茶を一口飲んで話続ける。
「Bランク冒険者はAランク冒険者になる事だけ考えてもらえば良いんだ。クズ魔石なんて収集している場合じゃないんだよ。Bランク冒険者からはギルドポイントも付かないだろ。この事からもAランク冒険者になる事が至上命題だ」
ここで一つ息をつく。
ヴィア主任は話を続ける。
「しかしギルド長のビングス・エアードはこの2つの項目を曲解させてるんだ。魔石を収集しない冒険者は違反、これは6条違反。次に35条でする助言は、魔石を積極的に持ってくるようにって助言するつもりだろう」
話を聞いていて大人って怖いと思った。
星をいただけると励みになります。面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!





