冷静な蒼炎
僕の横にミカが寄ってきて話しかけた。
「ヴィア主任との会話を聞いていたけどアキくんは蒼炎の感情を感じるって事なの?」
「そうだね。入学試験の時も感じたけど、今日の蒼炎で確信したよ。間違いなく蒼炎は感情を持っているんだ」
「アキくんがそういうなら私は信じる事ができるわ。蒼炎に感情があるんでしょう。だけど許せない事もあるんだからね」
ちょっと怒り顔のミカ。
「な、なんでしょうか?心当たりが無いのですが?」
そう言って少し後ずさる。
ニッコリ笑ってミカは言った。
「先程のヴィア主任との話の中で、最近ダンジョンで蒼炎を使うたびに違和感が大きくなっていたって言っていたでしょ!何かしらおかしいって感じたならば私にしっかり話してくれないと。私はアキくんの奴隷であり従者であり、そして冒険者パートナーでしょ!」
ミカの言ってる事は理解できるし、正しい事だ。
ひたすら謝り許してもらったところでヴィア主任が近づいてきた。
「待たせてすまなかったな皆んな。研究は仮定を立ててみて実験してみる。それで研究結果から仮定が正しいかどうか考察する。当たり前の話だ。私はまず蒼炎の魔法には感情があると仮定を立てる。それに伴った実験を重ねていきたい。突拍子も無い仮定ではあるがそれならば実験でこの仮定が違うことを立証すれば良い。時間は有限だ。早速実験を始めよう!」
そう言ってサイドさんに迅速に指示を出す。
僕には細かく指示と確認をした。
まず、今日これからこのダンジョン外で蒼炎を撃つことは問題ないかどうか?
また撃った時に蒼炎の感情を感じるか、感じたならばどのような感情か?できれば蒼炎を撃って直ぐに知らせてほしい。
その他には蒼炎が消える時が分かるようなら知らせるようにいわれた。
サイドさんが的の準備を終えた。先程とは別の場所だ。
ヴィア主任が声を出す。
「仕切り直して研究再開するぞ!アキくん、お願いする」
僕は蒼炎を撃つ準備をする。
ゆっくりと蒼炎の魔法の詠唱を始める。
【焔の真理、】
おだやかな蒼炎の感情だ。
【全てを燃やし尽くす業火、】
蒼炎の感情は落ち着いている。
【蒼炎!】
冷静な感情の蒼炎だった。
僕はすぐにそれを伝える
「とても落ち着いていました!穏やかです!」
蒼炎は的に当たると半径3メトルほどに広がり、そこで止まった。周りには余波が生じている。
10秒ほどで僕が声をかける。
「もう消えます!」
そのあと直ぐに白い炎になって、赤い炎、球体が崩れて消えた。
ヴィア主任が冷静に実験結果を見ていた。
ヴィア主任は近づいて来て、僕に質問をする。
「まずは本当に蒼炎の魔法の持続時間を君は見事に当てた。仮定の話だが君が調整しているって事はないかい?」
「それができればボクも嬉しいですけど。そんな嘘をついても僕は得しませんよ」
「念のための確認だよ。一応考えられることは提示して潰していかないとね。今の蒼炎の魔法は随分とおとなしい感じだった。蒼炎の感情と威力がリンクしている感じかな。もう少し実験を続けよう」
それから5回蒼炎を撃ったが全て落ち着いた感情の蒼炎だった。半径は3メトルくらいで安定していた。
ヴィア主任が言う。
「君の話から考えてみると今日の蒼炎はもうストレスが解消されて落ち着いてしまったようだね。たぶんこのまま今日実験しても変わらないデータだとは思うけど、あと5回ほどやってみよう。その後、杖を使っても蒼炎の感情が分かるか試してみよう」
その後、5回ほど蒼炎を撃ったが全て落ち着いた蒼炎だった。
杖を使った実験では蒼炎の感情を感じにくかった。
今日の実験は終了となり帰ることになった。
星をいただけると励みになります。面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!





