感情を持つ魔法
「どう言うことだ、アキくん。なんで蒼炎が消える事がわかった?」
軽い詰問調でヴィア主任が僕に聞く。
「蒼炎が満足し終わったからです」
僕は思ったとおりの事を言った。
怪訝そうな顔でヴィア主任が言葉を返す。
「蒼炎が満足?君は何を言っているんだ?」
「信じられないかもしれませんが僕にはそう感じました」
額に手を当てて考え込むヴィア主任。
暫く経ってから僕に話しかけた。
「君は蒼炎には感情があるって言っているのか」
僕はゆっくり答えた。
「今日、蒼炎を撃ってみて確信しました。僕に蒼炎の感情がはっきり伝わってきましたから」
「俄には信じられないな。魔法に感情があるだなんて。私は今まで無数に魔法を発動させてきた。そんな魔法の感情を感じたことはない」
「僕は蒼炎しか使えないから、良くわからないです」
「それなら君はいつも蒼炎を撃つと蒼炎の感情を感じていたのか?」
「そんな事はありません。でも確かに今日は感じました」
矢継ぎ早に質問をしてくるヴィア主任。
「それでは、今日以外で今まで蒼炎の感情を感じたことはあるかね」
僕は言うべきだと思ってヴィア主任に話した。
「蒼炎の感情を初めて感じたのは入学試験の蒼炎です。その時には怒りの感情でした」
目を見開くヴィア主任。
僕は言葉を続ける。
「実はその後、ヴィア主任達とダンジョンに行きましたよね。その時、蒼炎を撃っているとなんか今まで感じた事の無い違和感があったんです。その違和感はダンジョンで蒼炎を使うたびに大きくなっていました。今分かりました。違和感は蒼炎のストレスです。蒼炎はダンジョンで使われるのを嫌がっています。理由はわかりませんが」
僕の言葉を聞いてヴィアさんが話し始めた。
「あまりにも突拍子も無い話だから、なんとも評価しにくいな。今後の研究が必要かもしれないな。魔法がストレスを感じるなんて論文を発表したら笑い者になりそうだ。ちょっと頭を整理するから少し時間をくれるかな」
そう言って周囲を歩き始めるヴィアさん。歩きながらぶつぶつ言っている。
僕はヴィア主任の考えが纏まるまで少し離れて待つことにした。
星をいただけると励みになります。面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!





