ヴィア主任の考察
壊れたテーブルを片付けているサイドさん。僕とヴィア主任はもう一つある応接セットに移動して封筒の詳細を伝えた。
僕の話を聞いた後に確認するようにヴィア主任が話しだした。
「なるほど。ここまでの話をまとめてみよう。南の封印守護者のファイアール公爵家の屋敷の離れの裏に祠があり、強力な結界がされていた。その結界はいつからされているのか分からないくらい古いんだな。去年、君が12歳になった夜に祠の中が光っていた。確認に行くと強力な結界は無くなっていて、祠の中に光るカードがあった。君がその光るカードに触ると青白い光が身体に流れこみ、呪文が頭に流れてきた。その呪文が蒼炎の魔法なんだな。またカードはステータスカードだったと。ここまでは良いか?」
僕は頷いた。ヴィアさんは続ける。
「今年の1月10日の夜にもう一度祠を確認したら祠の奥にこの封筒を見つけた。それからこの封筒を開封してみようと思ったができなかった。そして今日ここに来た。こんな感じか」
ヴィアさんの話は続く。
「先程の結界を消滅させる魔法陣は現在知られている結界の魔法を登録してあるんだ。そのデータを使い結界の消滅に有効な魔法を発生させる。魔法陣が動いたと言う事は現在知られている結界の魔法と近い形だからだ。ただこの封筒の結界は魔法陣の消滅の魔法に対抗していた。封筒の結界の対抗に堪え切れなくなった魔法陣がショートして燃え尽きたって感じだな」
僕は結論を聞きたくなって言葉を挟んだ。
「結局、この封筒は開封できるのでしょうか?」
ヴィア主任は僕を見て会話を続ける。
「まずこの封筒の結界と祠にされてた結界に関係性があると思う。たぶんどちらも同じ人が施した結界だろう。この封筒の結界を考えるには、まず祠に施されていた結界について考える必要があると思う。通常、どんな結界でも時間と共に弱まる。ところが祠の結界は長い年月結界に守られてきた。これは間違いなく外部から魔力を取り込んでいるはずだ」
「そんな事は可能なんですか?」
「今の魔法の技術では不可能だ。私にもどのような結界にしていたか想像がつかない。ところが去年の君の誕生日にその祠の結界が無くなっている。これは間違いなく君がトリガーになっていると思う」
身に覚えが無いため僕は首を捻る。
ヴィア主任に質問してみる。
「祠の結界が無くなったのは僕が何かしらの原因なんですか?」
「私はその可能性が高いと思う。まずは祠の結界が消滅したのが君が12歳になった時だ。何かしらの条件を満たした者が12歳になった時を結界消滅の鍵にしたのかもしれない。推測だけどな」
「あまり信憑性のない話に感じるのですが?」
「君は祠の中にあったものを忘れているよ。それはステータスカードと封筒だよ。ステータスカードは今は失われた技術で作られているんだ。そのステータスカードに触ると蒼炎の呪文が君の頭に流れ込んで来たんだろ。これは個人の思念を物体に残す魔法だ。こちらも今は失われた魔法だけどね」
「それでもまだ私が祠の結界を開けるきっかけだとは思えないんですけど」
ヴィア主任は僕を見てニヤリと笑って言った。
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