火宮のダンジョン・ボス戦2
攻撃を繰り出してもなかなか有効打を当てられないイフリートが少し大きく右手を振りかぶった。
渾身の右ストレートだ。
ミカはその拳を盾を下から振り上げて軌道をずらす。
その勢いのまま盾をイフリートの顔にぶつける。
その瞬間イフリートが真っ二つになった。
何が起こった!?
良く見ると振り上げた左の盾が見える。右手も剣を振り上げた状態だ。
数秒後、真っ二つになったイフリートの身体はダンジョンに吸収されていく。
僕はミカに近づいて言葉をかける。
「凄い速いイフリートだったね。何でイフリートが真っ二つになったの?良く分からなかったよ」
ミカはまだ戦闘中の怖い表情だった。少し経つと僕に笑顔を見せて口を開いた。
「イフリートを倒した攻撃は剣を逆手にして盾を振り上げたと同時に剣を振り上げたのよ。カウンターのタイミングをずっと狙っていたの。大振りが来たら一気に決めてやろうと思ってね。上手くいって良かったわ」
僕はそれを聞いてミカの凄さに感嘆し、自分の見る目の無さに落ち込んだ。
押し込まれて不利になっていると思っていたミカが相手の大振りを狙って冷静に対処していたとは。
ミカはたぶんまだ余裕があったのだろう。
僕は剣術の技量も経験も全然足りてないことに改めて気付かされた。
今日のイフリートは僕の蒼炎だと当てられなくて負けていた可能性が高い。
接近戦の鍛錬をもっとして自分の戦闘の引き出しを増やす必要性を感じた。
ミカを見て僕は言った。
「ダンジョンは今回で当分お休みにする。もっと剣術の鍛錬を頑張るよ。ご指導よろしくねミカ」
キョトンとしたミカがこちらを見て言った。
「そういえば最近剣術の鍛錬してないもんね。戻ったらガンガンやりましょうか」
黒い笑顔のミカを見てしまったと思った。
「頑張るけどお手柔らかにね」
その言葉を僕は絞り出した。
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