火宮のダンジョン・ボス戦1
Bランクダンジョンの水宮のダンジョンのボスであるボス蛟は強かった。
ここも同じBランクダンジョンだ。注意しないといけない。
今回の作戦はミカが接近戦をやりたいと僕に言ってきた。「遠距離からの蒼炎のほうが安心じゃないか」と僕は言ったがミカが「これからの事を考えて。接近戦が必要になる時があるかもしれないから」と言って譲らなかった。
僕はミカの案を受け入れた。
もともとミカは僕が奴隷として買って、冒険者になるのも僕が誘った。まぁ奴隷だから逆らえないんだけど。
そのミカの自らこうしたいと言う気持ちを大切にしてきた。ポーションはある。余程重症になるか一撃死にさえならなければある程度問題は無いはず。
作戦はボス部屋に入ったらボスを確認でき次第ミカが防御を固めながら接近戦に持ち込む。僕は適度な距離で戦闘を確認しながらいつでも蒼炎を撃ち込めるように待機する。状況によってはボス部屋からの退避も考慮する。
ボス部屋は静かだった。赤い煉瓦の壁。奥には溶岩がある。
ボス部屋の真ん中にイフリートがいた。黒い身体をしている。
入り口から30メトルくらいの距離。
ミカがその時右手に【昇龍の剣】、左手に【昇龍の盾】を構えてイフリートに突進する。
イフリートの体格は普通のイフリートくらいの1.8メトルくらい。
ミカがイフリートまで15メトルの距離まで近寄った時、イフリートの身体から炎が上がった。
3メトルくらいの炎の柱になった。ミカが急停止した。その瞬間、炎を纏ったイフリートがミカに突っ込んできた。
速い!
通常のイフリートの1.5倍程度の速度だ。
イフリートは右拳でミカに殴りかかる。
盾で受ける。
受け止めた瞬間にイフリートはその場で後方宙返りをしながら左脚でミカを蹴り付ける。
この蹴りもミカは盾で受けた。
しかしこの蹴りでミカの盾は左に大きく弾かれた。イフリートは続け様に攻撃を仕掛ける。ミカは剣と盾で防御に徹している。
あまりの速い戦闘スピードに僕はサポートができない状態だった。
今までのイフリートは体術を使わずに魔法で攻撃してきた。
このボスのイフリートは体術で攻撃してくる。普通のイフリートが遠距離戦タイプとしたらこのボスイフリートは接近戦タイプだ。
怒涛のイフリートの攻撃に防戦一方のミカ。
まずい。
このままだと押し込まれると僕は焦った。
何か出来る事はないかと考えたが、このレベルの高い接近戦に僕も混じったらミカの邪魔になる。
遠距離からの蒼炎もこのイフリートの速さだと当てる自信がない。ミカにも余波が行くかもしれない。ただ呆然とミカとイフリートの戦いを見ていた。
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