囚われの剣姫
夜に今日のダンジョンでの戦闘を考えていた。ミカとイフリートの戦闘はまだまだミカに余裕がある。下層に進んでも問題無いと思う。蒼炎もイフリートに効いた。
ボスモンスターがどの程度かわからないが本格的に攻略を目指しても良いかなって考えた。明日は休みにしたから明日考えようと思い就寝した。
昨日ダンジョンに行ったので今日は休み。つらつらと魔法学校の受験勉強をしていたらリーザさんからギルド長が呼んでいると言われた。
なんだろう?と思い冒険者ギルドのギルド長室に出向いた。
ギルド長室のソファに座るなりギルド長が真剣な顔つきで話を始めた。
「今日、アキさんに来てもらったのはミカさんの事についてなんだ」
そう切り出されたが、特に思い当たる事柄が無い。首を傾げるとギルド長が話を続けた。
「ミカさんは昨年Bランク冒険者になった。これはどの国でも貴族扱いされる。これは冒険者ギルドがBランク冒険者を全力で守るからだ」
「そうですね。Bランク冒険者になった時に説明を受けました」
「私もミカさんにBランク冒険者になった時に説明させてもらったよ。ここで考えて欲しい事があるんだ。ミカさんは戦争奴隷だ。捕虜になって身代金が払われない場合になる奴隷だ。戦争の相手国の人間のため、奴隷になった国では反逆の恐れがあるため奴隷解放はできない」
「知っています。僕も以前ミカを奴隷解放するためにカンダス帝国に行く提案をしましたが拒否されました。この国で私と一緒にいたいと言われましたので」
ギルド長は深い息をついて会話を続ける。
「そんな事があったのか。実はBランク冒険者になったミカさんをこの国でも奴隷解放できそうなんだよ。Bランク冒険者になったため、現在ミカさんは魔石の供給で冒険者ギルドやこの国に多大な貢献をしている。つまりは何かあった時ミカさんをこの国の権力者から冒険者ギルドは全力で守る事になる。まぁこの国で国家転覆なんかを画策されたら困るから、ミカさんにはそのような事をしない旨を国に書面で出してもらってその責任と保証を冒険者ギルドでする事になるけどね」
なるほどと僕は思った。
「それならこの国に居てもミカを僕の奴隷から解放できるってことで間違いないんですね」
僕の問いにギルド長は自信を持って答える。
「その通りだ。実はミカさんがBランク冒険者になった時の説明で本人には話してある。君が納得しないなら冒険者ギルドが君を説得しても良いって言ったんだ」
「ミカを奴隷から解放する事に私からは異論はありません」
「去年ミカさんにその話をした時に少し考えさせて欲しいと言われてね。それで先日もう一度確認したら、ミカさんはこのまま奴隷でいたいって言うんだよ。理由を聞いても教えてくれなくてね。それでアキさんの意向を聞いてみようと思って今日来てもらったんだ」
「奴隷から解放できるなら解放したほうが良いと思います。私からミカに確認してみます」
「そうしてもらうと助かるよ。やはりBランク冒険者が奴隷のままと言うのは対外的にも良くないからな」
「やっぱりそういうものですか?」
「そうだな。この間のファイアール公爵家のパーティーみたいに貴族格として出席しながら奴隷だからな。それに君のためにも良いと思うんだ」
「私のためですか?」
「そうだね。君は他の冒険者から【蒼炎の魔術師】と呼ばれているね。ミカさんが何て呼ばれているか知ってるかな?」
僕は分からなかった。
「わかりませんね。なんて呼ばれているのですか?」
ギルド長は僕の目を見ながら話した。
「まぁ君の耳に入らないように裏で呼んでいるんだろうけどね。ミカさんは【囚われの剣姫】と呼ばれているよ。この呼び名は君にとってもあまり良くないんじゃないかな?」
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