ウルフ・リンカイ
大木は今まで通り雄然としていた。祠に近づく。結界は無い。特に何も変わっていないか。その時祠の奥に何かが見えた。なんだ?まだ何か入っていたのかな?手を伸ばし取り出してみる。
それは封筒に入っている手紙のようだった。宛名は【祠を開けた方へ】、差出人は【ウルフ・リンカイ】だった。
一瞬僕の頭が白くなった。
ミカが能天気な声で話しかける。
「【祠を開けた方へ】ってなっているからアキくんにって事だね。手紙を書いた【ウルフ・リンカイ】って誰?アキくん知ってる人?」
僕は絞り出すように言葉を吐く。
「伝説の人だよ。本当に実在した人かわからない歴史上の人物だ」
「そうなんだ」
ミカはそれほど興味を持ってないようで気の無い返事を返す。
僕は構わず話す。
「【ウルフ・リンカイ】はこのリンカイ王国の初代王様と言われている」
「言われているって?」
「あまりにも古い時代なんで実際は存在しなかったって説を唱えている歴史学者もいる」
「ふーん」
「そしてもう一つ」
僕は信じられない思いで言葉を続ける。
「先程話していた【白狼伝説】の主人公だよ」
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