ミカとの話し合い1
部屋はベットと机があり、ゆったりとスペースが取られている。冒険者宿泊施設の倍のスペースはありそうだ。
剣帯を外し、部屋に備え付けられている魔道具を使いお湯を沸かす。
お湯がちょうど沸いた時にノックがした。
「どうぞ!」
ミカはやっぱり無言で入ってくる。表情も無表情のまま変わらない。
「取り敢えずお茶いれているからそっちの椅子に座っててね」
お茶を入れてミカに渡す。
「まずは自己紹介をしっかりしようか。僕の名前はアキ・ファイアール。冒険者をやってる」
ファイアールの名前に反応があった。
「ミカが思ったとおり僕の実家はリンカイ王国のファイアール公爵家だよ」
ミカの目がこちらを凝視した。そして重い口を開く。
「……。なんでファイアール公爵家の人間が冒険者なんかをしてるの?」
自問自答しているような喋り方だった。
「まぁ見てのとおり僕の髪色を見ればファイアール公爵家の僕の立ち位置はだいたい想像つくでしょ」
ミカは無言で僕の髪色を見て、悲しそうな顔をした。
「水色の髪色だからファイアール公爵家ではいないものとして扱われてきたよ。でもそれは過ぎたことだから気にしていない。今は夢である冒険者になったことだしね」
「冒険者が夢?」
「そうだよ。自由に世界を飛び回りダンジョン探索や遺跡探索なんかしたいね。綺麗な景色や美味しい料理も食べてみたい。ミカも僕と一緒に冒険者を楽しまないかい?」
ミカは俯いて数秒経ってからこちらを睨みつけて怒鳴った。
「ならなんで普通にパーティメンバーを揃えないの!奴隷を買う理由が全くわからない!奴隷なんて貴族のおもちゃか戦闘時の捨て石じゃないの!」
なるほど僕みたいな子供が戦闘奴隷を購入したことに納得していなかったのか。きちんと説明しないとな。
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