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風の一翼 ラファエル・ピース②

『雷を使うのか、そのか細い針で我を刺すと言うならやるがいい。それを無駄と知ってから死ぬのが相応しい』

「煩い、私はお前から言葉を受けるだけで吐き気がする。お前の存在を私は許さない、お前は消えた瞬間のみに価値がある」

『流石は賢者の石の末裔よ、品性の欠片もないと見える』


 姉さんの雷は確かに強力な能力だ、だが一方でこれだけデカい相手に通じるのかという疑問はある。


 基本的に姉さんの攻撃はオーバーキル気味になりがちだから、全力全開で雷を撃つということが少ないのかもしれない。


 その全開を今から見ることができるのか、少しだけ楽しみだ。


「聞け、この雷鳴はお前のための鎮魂歌だ。葬送の雷は、お前に安らぎをもたらさない。苦しみ、焼け焦げ、そして死ね」


 聞いたことのない口上、これは一体どんな技が。


「雷葬」

「は……!?」


 嵐の巨人の真上、そこに現れたのは巨人をも越える太さで落ち来る雷。それはもう落雷とかそういうレベルではなく、固まった雷がそのまま落ちてきているような。


 こんな技があったのか、タメが必要とはいえ純粋な熱量だけでもう消し炭にされるぞ。


『悪くない、むしろ脆弱な身でここまでの現象を引き起こせるのは大したものだ。お前がこちら側ならばきっと良い使徒になれただろう』


 なんで余裕なんだ、これも効かないのか?


 姉さんの攻撃によって一帯が光に塗りつぶされた。


 何も見えやしないが、あの口ぶりなら傷はないのだろう。


『無駄だ。我は貴様らの攻撃では傷つかない。これは摂理だ、絶望せよ。何をしようと意味がないのだ』


 ……なるほど、そういう事か。


 無傷、無敵のタネは割れた。俺の槍なら届く筈だ。


「一撃で終わりだなんて言った?」


 姉さんの方に気を取られているうちに俺は砲台をを完成させないとな。


 超遠距離狙撃用砲台フリズスキャールヴを。


「いや、名前長いな。もうちょっと短くならねえか。ふり、ふり……きゃ……ゔ……良いやもうフリズで」


 フリズの作成にはもう少しかかる、今ある賢者の石製品を全部組み込まないといけないからな、それまで保ってくれれば俺たちの勝ちだ。


『……臭うな、賢者の石の匂いだ。薄汚い侵略者の匂いだ。一段と濃い者がいるな? そこか』


 風で位置を探られたか。俺が一番臭うのはそうだろう。この中で本当に賢者の石を持っているのは俺だけだ。


『貴様、きさまああああああああああああああ!!!!!』

「なんだ、何かのスイッチを押したか……?」

『その気配、その力、よもや怨敵に出会えようとはな!!』

「怨敵……?」

『貴様が我を主より引き剥がしたのだ。貴様が居るのならば話は終わりだ。絶望を味わう暇もなく死ね』


 まだフリズはできてない、作成に俺の手札を全部切っている以上向かっている暴風を防ぐことはできない。


「ごめん」


 俺はな?


「謝らなくて良いよシン、父さんに任せるんだ。その代わり」


 あーすげえ、なんで風を短刀で捌けるんだ。意味がわからない。流石に防戦なら母さんとある程度やりあえるだけはあるな


 いや、茶化し抜きで尊敬するわ。ここまでになるのにどれだけの研鑽が必要になるのか。


「マレちゃんを吹っ飛ばしたこの糞溜めを跡形もなく消し去って欲しい」

「あ、うん。そのつもり」


 はい、激怒してますね。父さんが怒るところは滅多に見ないが、おそらく母さんが逆鱗らしい。多分逆もそうな気がする。


「正面はこれで良いとして、横と後ろはどうするか」

「お兄様!! ラァにお任せください!!」

「いや、無理をするな」


 だって、砂糖全部吹っ飛んでるし。やっぱり風の奴はラァの天敵みたいだな。応用力の塊でも無理なものは無理だ。


「うう……それじゃあラァは何をしたら」

「ナイチンゲールを守ってくれ、それがあればある程度の致命傷まではどうにかなる。それに、壁なら専門家がいるしな」

「もちろんだとも。守り切って見せよう」


 ああ、この人の盾ならなんの憂いもない。何せ盾王その人だ。これで俺の周りは要塞化された。あとは完成まで時間が稼げればそれでいい


『こざぁかしぃいいいいいいいいい!!!!』

「おいおい直で来たか」


 突進とはな。流石に真正面から受け流すのは父さんでも難しいだろうし。


 ここは逃げだな。


「離脱する!!」


 桜腕を伸ばして移動の補助を行う。俺が走るよりこっちの方がずっと早いからな。


 だが、殺意の塊に変貌した嵐の巨人がただ突進するとは考えにくい。こっちの逃げを潰すような攻撃を置いてきてもおかしくない。


『馬鹿め、そちらは死地だ』


 やっぱりな。あらかじめ風を待機させておいて、その中に誘導。入ったら上半身がバラバラと。


「そうでもないみたいだぞ? ほら無傷」

『貴様……すり抜けたのか。位相をずらしているな』


 うわ、一発で看破しやがったこいつ。力の塊ってだけでもなさそうだ。


『ならば、すり抜ける隙間すら与えん!!』

「陛下!! 頼みます」

「承った」


 圧殺しようと放たれた攻撃は無数の盾に防がれる。これを突破するのは、あいつでもあと10秒はかかる。


 そして、俺の準備はもう終わる。


「終わりだよ」


 さあ起動しよう。俺の切り札を。


勅令(オーダー)






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