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三形態

「ああ、調子がいいな」


 頭は依然としてガンガンと痛むのに、目の奥がチリチリと焼け付くようなのに、吐き気もあれば、めまいもする、鉄の匂いは鼻血のせいだろう。


 だけど、それを遥かに上回って気分がいい。全能感というのかもしれないな。


「今ならお前らの事が前よりもずっとよく分かるよ」


 カタハ、オゼロ、アルカ、ヤタ、それぞれの事がよくわかる。性能も、性能以外も。


「遅いですよシン、残しておいてあげたのだから早く平らげなさい」

「ありがとう母さん。この馬鹿たちを消し飛ばすから見ててくれ。これが賢者の石だってことを示すよ」


 敵の数は目視で3体、最初はもっといただろうが返り討ちにあったらしい。よりによって母さんも姉さんもラァもいる時に来たのが悪い。


 竜巻を大きな鳥の形に押しかためたような奴らだ、普通にやれば物理攻撃も効かないし、飛んでるから一方的に殴られる難敵だろうな。


「この程度で何とかなると思ってるのが敗因だな」


 せっかく3体いるのだから、3通りのやり方をしよう。まずはアルカだ。


「アルカ」

「ああ!!」

勅令(オーダー)


 もはや番外指令ではない。賢者の石の所持者は正当な使用権を持っている。賢者の石製品をどうとでも使えるようだ。


魔剣・桜(グラムアルカ)


 俺の体よりも大きな剣、風の補助でもってようやく扱える兵装だった。前までは、今は賢者の石が俺に足りない熱量を補ってくれている。


 補助に回っていたスペックを攻撃に転化させる。取り回しは悪くなるが、その分凶悪な斬撃を用意できる。


「新しい形には新しい名前だ。食いちぎれ、螺旋桜剣(オメガアルカ)


 桜が舞う竜巻を剣の形にしたような剣だ。そして、この剣の使い方は簡単らしい。


 それはつまり。


「敵に向かって突き出すだけで良い」


 局地的ではあるが災害に匹敵する濃度の風が風の鳥を襲う。同じ成分でできているとはいえ、ここまで荒く濃い風の刃の前では何をしようと無駄だ。


「まあ、順当だな」


 風に飲み込まれた鳥は跡形もなく消滅した。逃げようとはしていたようだが、引き込む風に勝てなかったみたいだ。


「じゃあ次だ。オゼロ」

「ワン」


 オゼロの性能は基本的には水関係、海関係が最も強い。前にやった時は三機分を注ぎ込む事で無理やり海を呼び出した。


 それを再現しても良かったが、今回はもっと尖った形にしよう。海を直接持ってくるのではなく、この場を海としよう。


仮想海域(オメガ・オケアノス)


 これは自分でも思うが力業の極致だな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「まだいけるだろ?」

「ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!」


 そう、オゼロをもっと強く使う方法がある。それは、元の姿に戻して使うことだ


「来い、レブン!!」

「我輩を呼んだな、友よ」


 よし、子機であるオゼロの機能を拡張してやればいけると思ったんだ。


「委細承知、あの鳥風情を食らえばいいのだろう?」

「頼むよ」

「もちろんだ」


 空を泳ぐシャチは壮観だな、機動力も上回っているようだし結果は見えている。ほら、すぐに腹に収まった。レブンの口の中は一種の異界になっているらしく、基本的に食われたら戻ってこられない。これであの鳥の処理は終わりだ。


「食いでのない獲物だな」

「ありがとうレブン、また頼むよ」

「ああ、いつでも」


 レブンをオゼロに戻す。


「……カタハ」

「あいさ、あてはどうなるんだィ?」

「お前は、本来の力を引き出すだけだよ」

「気づいてたんですかィ」

「石から教えられたよ」

「はは、悪かったネェ」

「気を遣わせてたみたいだな……」


 カタハのスペックは賢者の石を通して把握した、手を抜いていたというよりも俺の事情を考えて出しゃばりすぎないようにしていたと考えられるか。


 申し訳ないやら、余計なお世話やら、言いたいことは多少あるが飲み込もう。


「ここは人形工房じゃないが、居るときと同じように戦えるようにしよう」

「助かるネェ」

「やるぞ。人形工房・再演(オメガエンデ)


 俺も見たことのないカタハのフルスペック、それを今解放しよう。


「は、はははははは!!! これは凄いネェ、これがあての全開か!!!」

「さあ、好きにやっていいぞ」

「そうさせてもらおうかネェ」


 見た目に変わりはないが、その中身はあまりにも別物だ。


「1番早い方法でやろうかネェ」


 カタハは鳥を指さす、そして指を弾いた。


「爆ぜナァ」


 瞬間、光が収束。


 そして、爆発した。


「どわぁあああああああ!!?」

「あっはっは!! ちょっとやりすぎたかィ?」

「……いや、良い」

「そいつは重畳」


 座標指定の定点爆破か、こりゃとんでもないな。


「……よし。これで見える分は終わりだな」


 あとは、見えない分か。


「来いよ。でかいの」


 もっと上、もっとデカくて強い反応があった。それを消して初めて一掃と言えるだろう。


「クゥエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」


 嵐を固めた大鳥が今目の前に降りてくる、流石にさっきのような瞬殺とはいかないかもしれないな。


「いや、お前も一撃だ」


 まだやってないのがあった。そう、俺の最大火力だ。


「新しいグングニールを見せてやる」















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