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賢者の石 序列10位

『じゃあ、一回寝ようか』

「はぁ……!?」


 あ、だめだこれ。抗えるタイプのやつじゃない。しかし、今のタイミングで行動を起こす奴がいるとしたら、それはもう賢者の石関係者しか居ない。


 そうじゃなかったら本当に意味不明だ。何の関係もない来訪者でないことを祈るばかりだ。


「はいどーも、初めましてかな? それともやっと会えたなと言った方が良いかな」


 目の前にいるのは多分男なのだろう。全体がぼやけていてよく分からないが。


「止まり木!! なんか変な奴がいるでしゅ!! 怖いでしゅ!! 早く追っ払うでしゅ」

「なんか重要な話をするみたいだからちょっと待ってくれないか、きっと俺の知りたいことをこの男は知っているはずなんだ」


 ビクトリウスと賢者の石の関係とか。


「いいねぇ、今までの奴らは傲慢&高慢みたいな奴らだったから新鮮だねえ」

「それでお前は賢者の石の一員だと思っていいのか?」


 今までの奴らというのが引っかかる。俺以外にもこうやって接触していた証だと思うが、それは一定の条件を満たした奴という意味か、それともビクトリウスの男という意味なのか。それによって対応が変わってくるぞ。


「お前アレだな、俺様を疑ってるな? 俺様が何者なのかを測ろうとしているな」

「気分を害したか?」

「いいや、それでいい。いきなり出てきた奴をすぐに信用してたらあっという間におっ死ぬわ」


 読めないな、どういう奴なんだこいつは。


「お前の推測通り、俺様は賢者の石序列10位『再誕卿』だ」

「再誕卿か、パックは確か育成卿とか言ってたな」


 育成対象が一国の王とかいう規格外っぷりではあったが、名がそのまま性質を表していた。ということはつまり、この再誕卿とかいうのも意味があると考える方が自然だ。


 再誕というと……


「まさかお前、俺を乗っ取るつもりか」

「頭の回転早いな、俺様はまだパックが居ることに驚いてる最中だってのに。だがこれで納得したぜ、俺様よりあいつに会っているなら話が早い」

「気兼ねなく体を奪えるってか?」

「違うっつーの、今更身体を得てもしんどいだけなんだよ。俺様の再誕卿ってのは復活的な意味合いだが、それは俺様が復活するわけじゃない。俺様は保険なんだよ」

「保険?」


 何に対する保険だ、今までのは話を考えれば再度の侵略に備えてのって感じだろうか。


 いや? 相手は賢者の石だぞ? そんな単純なわけないだろう。


「まあそれはおいおい話すとして。最終的にはお前の手で賢者の石を復活させてほしいんだよ」

「俺はパックに栓をしろと言われたが」

「はは、あいつらしいな。それと俺様の言ってる事はイコールだ。栓をするって事は賢者の石メンバーをもう一度集め直すって意味なんだよ」

「どういう事だ、説明をしてくれないと何が何だか分からない」

「だろーな」


 くっ、なんか、こいつがニヤニヤしていることだけは分かる。もしや俺はこいつと相性が悪いのか


「良いか、パックが言った栓をするっていうのは言い換えれば栓を用意して封印し直すって意味だ。そのためには栓の材料を用意しなけりゃならん」

「材料? それをダンジョン攻略しながら集めるんじゃないのか」

「まあそれもそうだ。だが、封印の核になるのは道具じゃない。人間なんだよ」

「……人柱か」

「人聞きが悪いな、この場合は英雄もしくは救世主と呼んでほしいな。今の栓は恐らく元々の賢者の石メンバーが核になっているだろうから、そこに新しい人間を入れる」

「賢者の石の構成員はみんな化け物みたいな能力を持っていたんだろう。そんなのと肩を並べる人間なんて居るはずが……」


 だってそうだろう。そう簡単に枠を埋められるわけがない。


「お前それ本気で言ってるのか? それとも気付きたくないだけか」

「気付きたくない……?」

「たとえば強靭な女が生まれやすいビクトリウス、先祖返りでとてつもない肉体性能を発揮するルーザス、常人には到達し得ない高みに昇る奴らがなんで居ると思う?」

「……偶然だ」

「偶然なわきゃあねえだろうが、俺たち賢者の石がそうなるように仕込んだんだよ。世代を経ても核となれる素質を持つ

ようにな」

「じゃあ、ビクトリウスは初めから……?」

「そうだ。お前達が産まれたのは核になるためだ」

「そんな馬鹿な……!?」

「だがそれが事実だ。ショックだよなあ、救いがねえよなあ。ここで死ぬために今まで血を継いできたなんて思いたくねえよなあ」

「お前……」


 煽り散らかしてきやがった。こいつ……どういうつもりだ?


「だから俺がいる。栓に人をぶち込むのは最終手段だ。そうならないために俺がこんな事してる」

「お前がどうするって言うんだ、代わりに栓になってくれるって言うのか」

「違う違う、そうじゃない。問題を解決するにはいつだって今を生きる奴だ。だからやるのはお前だ、お前なんだよシン。ビクトリウスの男、賢者の石を復活させるために設計されたお前しかいない」


 賢者の石を復活させるために設計された? 俺が? ならどうして俺はこんなに弱い、自分ひとりの力じゃあ何も打倒できないんだぞ俺は。


「ビクトリウスの男は最強にならなければいけない。そう言われて育ってきたろ」

「……それがどうした。その意味では俺は失敗だ、俺自体の力は凡庸もいいところだ」

「あ? そりゃそうだろ。単純なスペックでこの問題をどうにかできるなら最初の賢者の石メンバーがとっくにケリをつけてる」

「じゃあ何を求めてるんだ、俺はどうなれば良いんだ」

「さっきから言ってんだろうが。最強だよ、お前は最も強い存在に昇華し、そしてベータとガンマを完膚なきまでに叩きのめすんだ」

「最強最強って言うけどな、最強ってなんなんだよ!?」

「それを今から教えてやるってんだよ。賢者の石の総力を結集して作り上げた最強って奴をな」






最終兵器製造計画(オペレーション・シン)

正気か? そんなの絵空事もいいとこだぞ。

確かに俺はその計画のピースになれる。だが、それで本当に完成するのかねえ?

信じろって? まぁ、あんたには恩があるし、大義もある。だからってなあ。

……ああ分かった分かった、あんたが頭を下げるところなんて見たかない。

それに、賢者の石はあんたが始めたことだもんな。

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