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イニシエーション Ⅲ

中間地点で起こった爆発が目隠しとなり何も見えない、だが俺にダメージはない。ならば、姉さんのほうが競り負けたのだろう。


「姉さんに勝った……?」


 なわけないだろう、あの姉さんだぞ。たとえ最大出力で負けたしても別の殴り方をしてくるに決まっている。例えば、あのライキリは一撃限りじゃないとか。


 絶対に何かまだあるはずだ、気を抜くなんてとんでもない。


「雷斬・二ノ太刀」

「信じていたよ姉さん!!」


 煙を切り裂いて突っ込んでくる。俺のグングニールには溜めが必要だ、だからこの2回目のライキリはグングニールでは防げない。


 きっと、このライキリなら装甲を切り裂けるのだろう、当たれば。


「バースト!!」


 エンデは遅くない、爆発による推進力は鉄の巨体を高速で動かす事を可能にしている。鈍重だと思っていたならばこの突撃を避けられない。


「甘いよシンちゃん。早く動くかもしれないなんてのはずっと想定しておくものだもの」

「姉さんなら当然対応するよな」


 突撃を避け背中側から袈裟懸けに斬る軌道。ならこれはどうかな?


「バックファイア!!」

「っ!?」


 背面えの爆撃、推進に使うものを攻撃に転用した武装だ。これは流石に虚をつけたようだな。


「カタハ!!」

「あいヨォ」


 射出したカタハによる妨害だ。どうする姉さん、足を止めればグングニールの準備を始めるぞ。それともカタハを斬るのにそのライキリを使うか?


 どちらにせよ、流れは俺にある。


「小賢しいよ」

「あちゃぁ……シンの旦那。2本目とは恐れ入ったネェ」

「シンちゃん。どうする?」


 斬られて崩れ落ちるカタハ。ライキリを展開している手とは逆の手にもライキリか、これで手数は2倍、形勢は逆転と。


 いや、そうはならない。姉さんはカタハの事を知らなすぎる。カタハは人形だ、それを斬っただけで終わらせるなんて。


「こちとら人間じゃあないんでネェ」

「くっ……まだ動くか……!!」

「次弾装填」


 ライキリを振れない状態でグングニールを食らえば姉さんだって戦闘不能になるはずだ。さあ、これで決着としよう。


「お・に・い・さ・ま」

「……来たか」


 瞬く間にエンデの動きが悪くなる。間接部に詰められた砂糖が固まることで動きを阻害しているのだろう。


 まったく、我が妹ながらその能力はずるいと思う。なんでもできるじゃねえか。


「お姉様をそんなに虐めてはいけません。もうその木偶は動きませんから、改めてくださいね」

「流石だなラァ、参加してこないと思ったらエンデの弱点を探していたというわけか」

「ええお兄様。諦めてくださいませんか、これから先はただの消化試合でしょうし」

「残念だが、そういうわけにもいかないんだ」

「そうですか。ならその木偶は壊してしまいましょう」


 エンデが悲鳴を上げる。構造的に弱い部分に力を加えられれば仕方がない。ここまでか。


「ラァ、ごめんな」

「?」

「射出」


 エンデの内部で換装を終え、自分自身を撃ち出した。鎧の形はベルヴェルグに近いがこれもまたエンデの形の1つだ。まさか内部から俺が飛んでくるなんで思っていなかっただろうな。だから。


「ッ……!?」

「不意打ちで終わりなんて不服だろうが、我慢してくれ」


 俺の一撃をラァが躱す事はできなかった。顎の先にかすめた拳はラァの意識を速やかに刈り取った。力が抜けたラァの身体を抱き止める。


「っと、勢いよく倒れたら危ないよな」


 ラァを寝かせて振り返る。


 そこにはカタハの拘束を抜けた姉さんが居る。


「優秀な妹だよ本当に。カタハの動きも鈍らせていたのか」

「シンちゃん、この間合いでお姉ちゃんの雷斬を避けられる?」

「どうだろうね、やってみないと」

「そう。やってみましょうか。お母さんが止めてくれるみたいだしね」


 姉さんがライキリを構える。


 ここで考える、俺が姉さんならどう攻撃するか。馬鹿正直に斬りかかる? そんな事はしない、そうこの場面なら。


「あぶねっ!?」

「ちぇ、バレちゃったかー」


 飛んできたのはグングヤークだった。そうだよな!! 俺だって今の会話を仕込んだら遠距離攻撃で殺しにかかるわ!!











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