イニシエーション Ⅱ
「くそっ、まだ準備ができてないのに!?」
「常在戦場の心得と言ったでしょう? それは今ここで戦闘が始まっても問題なく戦えると言う意味ですよ」
「だからって、説明即開戦するかね!?」
「ふふ、楽しいでしょう? 変則的な戦場は1番の娯楽ですからね」
「このバトルジャンキーが!!」
言い合いしている場合じゃねえ、戦う覚悟は決めたが、俺の反応速度では、姉さんを捉えるのは難しい。だからまず俺がすべきなのは、鎧を纏うこと。
「番外指令!!」
「遅いよシンちゃん、待つと思う?」
「くっ……!?」
分かっていたが早い、雷鳴と共に、姉さんの攻撃が迫る、ん?
「見えてる……?」
「あれ? 優しく気絶させようとしたのに」
避け、られた? 姉さんの攻撃を、素の俺が? なんでだ? 俺が雷を見切った? そんなことができるわけないのに。なにがどうなっている?
「シンちゃん、あの鎧がなくてもお姉ちゃん見えてる?」
「さて、どうだろう」
「あー、そういう言い方はお姉ちゃん嫌いだな」
番外指令は既に発した、であれば、あとはコードを言うだけ。
「三機融合」
「もっと早く行くね」
次の攻撃は、後頭部への蹴り、しゃがんで避けても良いが予想されているだろうな。つまり、今すべきは予想の外にある回避をする。
「あ、すり抜けたな!?」
「人形式対災害用兵装」
「うわっ!?」
初めて使うモードになる。カタハをメインにしたこれは、前に使ったベルヴェルグよりも高性能だ。肉体性能の向上だけじゃない。これはもう歩く要塞だ。自分自身を動く砲台にするに等しい。
思った3倍ゴツいな、これはもう鎧を着ているというよりも、でかい人形の中に俺が乗っていると言う方が正しいか。
「いくよ」
「あはっ、シンちゃんすごい!! でも良いのかな、そんなに大きく重くなったらお姉ちゃんに追いつけないんじゃない?」
「どうかな、試してみてよ」
「うんっ!!」
姉さんの高速移動が開始する。的を絞らせないための不規則な軌道、確かにこれを捉えるのは一仕事だ。闇雲に爆撃しても当たりゃあしないだろうな。
「ここっ!!」
脳天にあたる位置に電撃を纏った踵落とし、まともに食らえば大打撃になるだろう。
「悪いネェ、あてもいるんだなこれが」
「は?」
そう。このモードは他のモードとは違ってカタハが出現可能だ。しかも普段よりも強化された状態で。爆破能力はこちらにあるが、身体能力は人間の比じゃない。そして。
「捕まえたヨォ」
「でかしたカタハ」
「ちょっと離してよ!!」
「いくぞ姉さん。ファイア!!」
カタハが羽交い締めにした姉さんへ砲撃を撃ち込む、カタハ毎撃っているが問題は無い。一体だけならカタハ何度でも呼び出せる。
「……お姉ちゃんこういう戦い方嫌いだな」
電気の盾か、ダメージはほとんど無いように見える。だが、盾を出したという事はまともに当たればマズいという意味だ。
俺の攻撃は姉さんへの有効打になりうる。それが分かれば十分だ。
「ちょっと本気だすね?」
「全力で来いよ姉さん。俺はそれを正面から叩きつぶしてやる」
「……シンちゃん。少し調子乗りすぎじゃないかな?」
雷電を纏う姉さん。ああ、これだ、これがデーレ姉さんだ。生身の人間など近づくだけで死ぬ雷の化身。これが、本気。これを倒さなければ俺に先はない。
「シンちゃんからもらった技だよ、これで少し反省してね?」
姉さんがグングヤークとか言ってた、廉価版グングニール、回転数が前よりも遙かに上がっている。もう全く別の技に昇華しているとは恐れ入る。
「効かないよ姉さん。姉さんのそれは電撃だからね、流そうと思えばいくらでも流せる」
「ふーん、じゃあこれはどう?」
近くあった燭台を撃ち出すみたいだ、だがそれも効かない。エンデの装甲は撃ち抜けない。
「堅いね、とっても。どこまで耐えられるかな?」
「我慢比べに付き合う気はないよ」
何故かまだ手を出してこないが、ラァも居るんだ。姉さんとの戦闘で力を使い果たすわけにはいかない。
「じゃあ、お姉ちゃんも終わりにするね」
姉さんの手に雷が収束する。大技を撃つ気だ、きっとそれは必殺の一撃
「黄昏を否定する破壊の鎚、巡れ、廻れ、轟け」
「全砲門スタンバイ、対災害砲オールグリーン」
こちらも必滅の一撃で迎え撃つまでだ。
「雷斬」
「爆砕撃滅砲・終焉」




