巨龍火山ウンゼン Ⅳ
「アルカ!?」
意味が分からない、ここは樹人の森ではない筈だ。ならばあの威力はおかしい。何よりなんでこの時この場所にアルカが居るんだ。そんなことがあるわけ。
夢か? 死ぬ間際の都合のいい夢を見ているのか。
「へへ、久しぶりだな?」
いや、これはアルカだ。本物だ、桜腕と剣のアルカが反応している。間違いはない。
「どうして」
「どうしてここにいるのか、どうしてあのトカゲを吹っ飛ばせたのかってところか?」
「あ、ああ」
「その答えは……じゃじゃーん!!」
「なんだそれ、胸元に宝石なんてあったか」
「チッチッチッ、これはただの石っころじゃないんだなこれが。これは賢者の石だ」
「賢者の石!?」
何を言っているんだ? 賢者の石は組織の名前だろう? それがなんで宝石に同じ名前が、いや考えろ。どんな可能性がある? 考えるまでもない、賢者の石と関係する奴なんてあいつしかいないだろう。
「パックから貰ったのか」
「さすがはシン、言わなくても分かっちゃうんだな。真っ青な顔して変なのが来たと思ったら、予想以上に大きな城ができててシンが危ないって言ったんだ」
「それでその宝石を渡されたと?」
「そう、石を組み込めばすぐに助けに行けるってさ。危なかったな?」
「ああ、そういう事か」
後で聞きたいことは山ほどあるが、助かったのは事実だ。アルカが居てくれるなら俺はグングニールに専念できる。
「今度こそやるぞ、ん?」
なんだ? 剣のアルカが震えているような?
「……え?」
アルカ本体が賢者の石製品を取り込んだせいで、剣のアルカにも変化が起きている。
「やれるのか、こんなこと」
【熟練工】はやれると言う。ならば。
「番外指令」
きっとできるのだろう。
「アルカ、力を貸してくれ」
「ああ、やろうぜシン」
俺とアルカで、あの龍を斬る事が。
「制限解除」
アルカ本体すらも一本の剣として組み込む。今のアルカが賢者の石製品とみなされているからできる事だ。
「世界樹式対災害用斬滅兵装」
さあ、見ろよ災害。これがお前を砕く剣だ。
「魔剣・桜」
俺よりデカい剣ができた、形はアルカを大きくしたものだ。とはいえなんでこのサイズの剣を俺が持てているかは分からないが普通に振れそうだ。
これならグングニールほどの消耗を伴わずに大規模な攻撃ができるはずだ。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
っ!? 風が剣を後押ししているのか。それでこの軽さということか。いけるぞ、正面からあの龍を真っ二つにしてやる。
「いけええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」
伸びて伸びて伸びて、そして、目の前の巨体にグラムアルカが食い込む。
「入ったぞ」
【熟練工】が俺に言う。ここで解放しろと。持ち手を捻り、真の力を。
「グラムアルカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
グラムアルカの真骨頂は長さでも、大きさでもない、刀身に触れている者に対して行われる暴風の追撃だ。内側から爆ぜる風に耐えられる者はいない。たぶん。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!」
龍の身体が醜くふくれあがり、そして、断末魔を上げながら爆ぜた。
「しゃああああああああああああああああ!!!!!」
腕を全力で天に衝き上げる。俺だけの力ではないにしろ、俺の攻撃があの巨竜を倒したんだ。
「素晴らしい」
「っ!?」
「まさかこの程度の焼却範囲で我の城が壊されるなんて」
「お前、は」
「ああ。もう一度名乗ろうか人間。我はオコシ、火吹きの災害だよ」
終わりじゃなかった。確かに言っていた、城を作って待ち構えると、だが、城を壊せば終わりだなんて、そんなことは誰も言っていなかった。
本命はこいつなんだ。炎を纏う女性のようなこいつを倒さないとダメなんだ。
「城を壊したのはお前だ。次のステージに進む資格を持つのはお前だけ」
「つまり、一対一の決闘ってわけか」
「違うぞ、これは試練だ」
「言い方の問題だろ」
「まあ、そうとも言うか。では始めよう。我が試練を」
俺の周囲が燃えていく、まるで炎が世界を侵食するように。
「人間よ。熱を示せ」
俺と火吹きだけが居る焼け野原。ここが試練の場所か。資格は俺だけと言いつつも、グングニールもグラムアルカもそのままだ。俺の装備と見なされたらしい。
「火吹き、これを卑怯とは言うなよ」
「言わないさ。それもお前という人間の力だ」
カタハ、オゼロ、アルカをもとの姿に戻す。
「火吹きかィ、全身吹飛んでも平気かネェ?」
「ワン!!」
「ん? もう良いのかシン」
「カァ!!」
総力戦だ。出し惜しむ事は無い。
「番外指令」
見せてやるよ火吹き、人間の熱さを。
【魔剣・桜】
風よ、桜と舞え。鋼よ、水の如く振る舞え。
切り裂く刃は偽り、真なる刃は風。
内に吹き荒ぶ嵐、防ぐ事能わず。




