王殺しの罪
「は、はは、やった、やったぞ!! 俺は……やったんだ!!!」
あの槍王を、俺が、俺が倒したんだ!! これで、これで、俺は!!
「俺は……」
王殺しの大罪人になった。
「……」
矜持のため、目的のため、槍王を殺した。その責任を俺は背負う。
「……」
槍王の国全てから殺意を向けられて、俺は耐えられるだろうか
「……い」
最強とは、頂とは、全てに恨まれる破壊者なのか
「おい」
「うわっ!?」
「頭を抱えてどうした、余を倒したのだ。誇れ」
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!?」
なんで左半身分の鎧だけで動いてんだぁ!?
「死んだはずじゃないか!」
「うむ、死んだだろうな」
「ならどうして!?」
「中身を見るがいい」
「なにも……ない」
「これは国家機密ゆえ他言はできないが、鎧に余の意識を投射しているのだ」
「それじゃあ、俺が倒したのは作り物か……」
「いや、力はそのまま余のものである。貴殿の一撃は確かに余を殺害せしめる絶技であった。名を聞こう、勇者よ」
「シンだ、ただのシン」
「そうか、ではシンよ。余はお前の事が気に入ったぞ」
「……?」
「このような姿で言う事ではないが、聞いてくれ」
なんだ、何を言われる。反逆罪に問われるのか!?
「余の夫になってはくれまいか」
「は?」
「なんだその気の抜けた声は。余は自分より強い者と番うと決めていたのだ、今までそんな骨のある男がおらなんだから独り身であったが」
「話が急すぎて、おいつか……あ」
やばい、無理しすぎた、安心した瞬間に、死にそうだ
「シン!? 余の夫になるのだからこんなところで死ぬな!!」
「それ……また……後で……」
「シィイイン!!!」
「最近……負荷が……重い戦いしか……ないな……かはっ……!!」
もう無理。
「とーまーりーぎー!!!!!」
「シンの旦那!!!!!!」
「ご主人!!!!!!」
なんだ!?
「え、ヤタにカタハ!? それと、誰?」
「オゼロであります!!」
あー、状況が飲み込めてきた。俺が意識落としたから夢の世界にぶち込まれたんだ。で、犬耳の人型になったオゼロが投影されていると。カタハも今回は招待されているんだな。で、みんなの顔を見る限り、これは相当怒られるやつだ
「この馬鹿!!」
「阿呆!!」
「おたんこなす!!」
ほーら、罵倒の嵐。
「あの、ごめんなさい」
「ごめんなさいじゃねえでしゅ!! 言った側から死にかけてんじゃねえでしゅ!!」
「あてを使うのは構わネェ!! むしろ嬉しいサ!! その反動で身体を壊されちゃ!! たまんねえヨォ!!」
「ご主人はもっと命を大事にして欲しいであります!! 付き合いの短いオゼロでもドン引きであります!!」
これ何言っても駄目だ……おとなしく感情の奔流を食らうしかないなー
「……」
「黙ってんじゃねえでしゅ!! 何か言うことはねえでしゅか!!」
「自分自身の重さを理解して欲しいサ!!」
「ご主人は死にたがりでありますか!?」
やー、困ったな。
「あれしないと勝てなくて……」
「もう良いでしゅ、やんわり伝えても伝わんねぇならはっきり言うでしゅ!!」
え、これもっと怒られるの?
「止まり木が死んだら、我も死ぬでしゅ。これは生命力の供給先がないからとかじゃなくて、止まり木の居ない世界に存在することが耐えられないからでしゅ。つまり自害するでしゅ」
「や、そんな大げさな」
「おおげさ!? ふざけんじゃねえでしゅ!! 自分が我に何をしたのかよく考えるでしゅ!!」
しまった、不用意な発言をした。これは拗れるぞ
「たたみかけるようで悪いがネェ。あても同じ気持ちサ。シンの旦那が死んだなら、あてもそこまでだ。それ以上は要らないナァ。旦那の遺体の横で朽ちるのが望みサ」
「ご主人!! オゼロはご主人を食べてから飢え死にしますね!!」
まさか、ここまでとはな……
「ありがとう」
感謝しかない、俺にそこまで言ってくれるようになるなんて。
「つまり、皆をこれからは俺の命として扱って良いって事だな?」
今までも結構頼ってたが、自分として扱って良いなら遠慮はいらない。
「そう言ってるでしゅ」
「あてもそれで良いネェ」
「オゼロは頑張ります!!」
うん。良さそうだな。
「これからは自分の身体をあんまり酷使しないように気をつける、それで良いか?」
無言の頷き。一応許してもらえたかな?
「さて、時間稼ぎはこれくらいで良いでしゅかね」
「ん?」
「なんでもないサ、少し外で話し合いをしていただけだヨォ」
「んん?」
「外ではなにも起こっていないであります!!」
「んんん!?」
これたぶんすぐに起きないと駄目だな!!
【遠隔鎧】
使用者の能力を再現するラジコン
製造には特別な設備が必要なので、おいそれと作れるわけではない。
「王サマ、一機壊れたって本当デスカ」
「本当だぞ? 余の夫が壊した」
「……夫?」
「うん」
「こりゃ、明日は槍が降りマスネ」




