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深く冷たく、怒るモノ

「やってやるとは言ったものの」


 水中で剣を振っても意味が無い。達人レベルならそんなことはないのかもしれないけどな。


「アルカも流石に水中戦対応まではできないよなぁ」


 そうだよな熟練工?


「え? できそうなの」


 熟練工が俺に言う、振れないのなら振らなくても良いと。ならアルカを伸ばすだけ伸ばして、絡め取ることはできるのか?


「調子の良いことを言って申し訳ないんだが、あのイカの周りを泳いでもらえるか」

「……何故だ? 奴の周りは危険である事は分かるだろう」

「俺の武器は伸びる、それを奴に巻き付けてから思いっきり削いでやる」

「本気か?」


 レブンの困惑が伝わってくる、そりゃそうだ。あんなデカいイカをを巻き取れるくらい伸びる武器なんて想像できないもんな。俺だってアルカを持っていなかったら同じようになる。


「信じてくれ」

「……分かった。全力でいくぞ友よ」

「頼む」


 アルカを伸ばす、伸ばす、伸ばす、伸ばす、どこまでも、いけるところまで。


「驚いたぞ友よ。我輩でも知らぬ武器を持つとは」

「この世で1本の宝物だ。性能も信頼できる」

「っ!? 触手が来るぞ!!」

「分かった!!」


 流石に大人しく巻かれてはくれないか。ぶっとい触手の一薙ぎでもまともに食らえば、俺は枯れ枝のように折れるだろうな。


「だけどこっちの方が速いな」

「避けるだけならいくらでもやってやろう」

「あと二周くらいで巻けそうだぞ!!」

「了解した」


 アルカで包囲した後は一気に巻いて輪切りにできるか。


「巻けた!! 全速で離脱してくれ!!」

「承知」


 お前なら斬れる、そう信じている。


「ギュゴォ!?」

「今更気づいたか? もう遅いんだよ!!」


 包囲はもう終わっている!!


「いくぞアルカァアアアアアアアアア!!」


 レブンのスピードで一気に引く、これでイカは終わりだ。


「え?」


 悪寒がする、致命的な何かが起こったときに感じる警告。


「レブン!! 止まれ!!」

「何故だ!? あと一手で勝利を得るのだぞ!!」

「駄目だ、何が駄目かは分からないがこれ以上行ってはいけないんだ!!」

「血迷ったか友よ!! 我輩は行くぞ!!」

「止まれ!! 止まるんだ!!」


 駄目だ、止まってくれない。信頼されるには時間があまりにも足りなかったか!? 今までが上手くいっていただけに油断した!!


「ギュゴオオオオオ!!!」

「見事に切り裂いたではないか、何も問題など」

「違う!! まだ動いているんだ!!!」


 考慮してなかった、考えが及ばなかった、後悔ばかりが押し寄せる、相手はイカだ。人間じゃない、輪切りにされてもまだ動くとはな!! 斬った触手を含めてバラバラの身体が全部こっちに向かってきている、今度はこっちが包囲される!!


「なんだと!!」

「このままだと圧殺される!! 俺は全力で背中を守る、突っ切ってくれ!!」

「後悔も謝罪も後にしよう。我輩の全速力を以て突破する」

「やるぞアルカァアアアア!!!」


 俺が今できるのは伸ばしたアルカを縮める事。縮める過程にできるだけイカを巻き込むんだ。


「うおぉあああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


 くそ、輪切りにした分縦横無尽すぎるぞ、あまりにも範囲が、広い。


「ごぁっ……!?」


 なんだ、目に、何かが、


「それ以上は駄目サ」

「カタハ!?」

「シンの旦那、少し借りるヨォ」


 顔全体を覆われた!? 何をする気だ!? 駄目だ、意識が……


シンOUT

カタハin


「この……役立たずが!!」

「友は!! 友は無事なのか!!」

「無事じゃねえ!! あてが出るのがあと少し遅ければシンの旦那は頭を潰されてたかもしれネェ……」

「っ!?」


同じ製品だと思って少しはできるのかと思ったら、全然ダメじゃネェか!! 畜生、畜生、畜生、シンの旦那の目が。


「シンの旦那の意識はない、あてがやる」


 出し惜しみはしネェ、ここら一帯全部消し飛ばして


「待ってくれ、待ってくれ、我輩は、我輩は」

「黙れ。今てめえにできる事はシンの旦那を運ぶことだけサ」

「それは……う……ぐぁ……冷える……飢える……わが……はい……から……離れろ……」

「てめぇ!! なんで止まってんだヨォ!!」

「ゴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

「ふざけるのも大概にして欲しいナァ……!!」


 悪い事は重なるもんだナァ……


「暴走? 違うか、あてが見る限りこれは本来の動作に近いナァ」

「制限解除、海洋保全機構解放、汚染源特定」


 あれは……


「確か、海洋保全用の回遊型環境調整機。製品名は確か……オケアノスだったかナァ。賢者の石の中でも軍用部門の製品なら、任せても良いかネェ」


それなら、シンの旦那を治療する方に専念しようかネェ。

















【擬態型海洋保全用環境調整機 オケアノス】

この度は賢者の石が誇ります環境調整装置をお買い上げいただきまして誠にありがとうございます。

こちらは普段海洋生物に紛れ込み、汚染もしくは破壊活動を見つけた際にはその対象を完膚なきまでに排除する能力を持っております。

しかも食らったものをクリーンな物質に変えて放出するため、排除による被害もございません。

あなた様が所有する経済水域はオケアノスがある限り守られるでしょう!!


※軍用にチューンナップすることもできますので、相談してくださいませ

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