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うーみーはーひろいーなー、おそろしいーなー

「あとどれくらいだ?」


 飛べども飛べども陸は見えてこない、幸いレブンが定期的に魚を投げてくれるから餓死はしなさそうだが。


「おかしい。着いてもおかしくないはずなのだが」


 そうか、レブンから見てもおかしいか。異常事態が起こっているなら一旦飛ぶのはやめだ。使えるかは分からないがもう一つ頭脳を増やそう。


「イカロスからカタハを分離するには……」


 ここを押せば良いのか? 


「ぽちっと」

「ああん♡」


 なんで声が聞こえるんだよ。しかも分離しないし。


「連打か? 連打すれば満足か?」

「んっ♡ あっ♡ やん♡」

「次が最後だ。これ以降は諦めるからな」


 戻る気がないならこの試みは無駄だったということになる。それは避けたいが仕方ない。


「長押ししてやる」

「あはぁああああん♡」

「……」


 長い声が出るだけかと思ったら、今度はちゃんと離れやがった。タイミングを測っていたとしか思えない。


「なんですかいシンの旦那」

「次に音声機能を悪用したらしばらく口をきかないからな」

「なんのことやら」

「……まあ良い、海がおかしいんだ。着くはずのところに着かない」

「足場になってる奴もそう言ったんで?」

「そうだ。レブンもそう言ってる」

「そりゃおかしいなあ、海洋移動式が間違えるはずはないのにナァ」


 海洋移動式?


「長い時の中で劣化したんじゃないかィ?」

「貴公と我輩は初対面のはずだが? なぜよく知っているように話す」

「おいおい、識別もできないのかィ。こりゃあ相当イカれちまってるナァ」


 識別? レブンはもしかして……


「カタハ。もしかしてレブンも、賢者の石の製品なのか」

「まさか分からずに信用していたとはネェ……」

「で? どうなんだ」

「シンの旦那が思った通りサ。これは賢者の石が開発した製品だネェ。残念ながら何を目的として作ったものかまでは分からないナァ」

「どう見ても生き物なんだが」

「どう見ても、ネエ?」


 いや、賢者の石に常識は通用しない。何を作っていてもおかしくはないか?


「賢者の石? 我輩が、その賢者の石とやらの被造物だというのか」

「そうだろ? あてには分かるのサ」

「奇妙な懐かしさを感じるが……それだけだ。我輩は賢者の石など知らぬ」

「まあ良いサ、本題はそれではないみたいだしネェ?」


 そうだ、今は陸に着かないのをどうにかしないとどうしようもねえ。


「レブンって言ったネェ? お前がグルグル回ってるんじゃないのかィ?」

「な、何をバカな!? 我輩がそのような事をするはずが」

「おかしいネェ? あての感覚センサーが間違いでなければ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……」

「だんまりかィ?」


 おいおいおいおい、マジかよ。


「いや、我輩には本当に心当たりがないのだ」

「嘘はいけねえナァ。それならどうしてここを回って、回って……? 今泳いでないよナァ?」

「泳いでないが?」

「なんで泳いでないのに座標が動くんだァ……?」

「む?」


 雲行きがめちゃくちゃ怪しくなって参りました。この話はどこに着地すんだ。話し始めたカタハには是非とも収拾をつけてもらいたいんだが?


「友よ……我輩にしがみつけ。呑まれるぞ」

「呑まれ……? なにが起こっている」

「発生源は分からぬが、巨大な渦ができつつある。呼吸が保てば良いのだが」

「つまり渦潮に引き摺り込まれると? 突破はできそうにないか」

「できぬ、すでに渦中にある身。無駄な体力を使わずに流れる他なし」


 息を止めるにも限度がある。ここで窒息死なんて冗談にもなりゃしねえぞ。どうする、何か方法はないか。


「……根性しかねえな」


 空気を用意する手段がない。しかし、レブンを失えば結局海に放り出されて遭難する。結局はレブンについていくしかないんだなこれが。


「限界までやるしかねえ……」


 息を止め、そして目を閉じた。次に空気があるところに出るまで、俺は思考を止める。無駄な事を考えるな。死が近づくぞ。


「シンの旦那、空気くらいなら用意できるだがネェ」

「がぼぁ!?」


 口に、入り込んで、なんだこれ、猿ぐつわか? なんでったってこんなもんが。


「なにしやがんだ!! ってあれ? 呼吸ができる」

「あてが口にくっついている間は呼吸ができるのサ」

「こういうことができるなら早く言ってくれないか?」

「はははは、必死な旦那が可愛くてつい」

「……いつだって俺は必死だよ」

「知ってるサ、くっついてるからネェ」


 その訳知り顔ちょっとムカつくな。


「……すまないが、周りを見たまえ。食べ放題だ」


 食べ放題?


「ギュゴォオオオオオオオオオオ」

「でかいイカだとぉ!?」

「ここまでのものは初めてみる。我輩を引き摺り込んだ渦はこやつが作り出したのだろうな」

「つまりはこいつを倒さないと進めない。そういうことだな」

「然り、我輩と共に戦ってくれるか?」

「そうしないと死ぬだけだ。やってやるよ水中戦」


 一回もやったことないけどな。




【ルルイエイカ】

それは■■■■■の尖兵。

■■を■■■するために存在する者

偉大なる■■■の一角の手足となる眷属

恐れよ、

怖れよ、

畏れよ、

天地を返し、

正気を狂気に塗り替えた時

拝謁の機会を与えよう

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