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鬼の腕の中で眠れ

「我らと同じ遺物の1つ、失われた血を持つものよ。暴威を以てその存在を示すが良い」

「アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 あの服、ファスカなのか……?


「ぐぅ……!? 見えないか……!!」


 今、まばたきの間に地鳴りの腕が吹飛んだぞ。


「宝珠は奪い返した、存分にやろうではないか」

「アアアアアアアア!!!」


 地鳴りの身体は次々が消し飛んでいく、それを意にも介さない。つまりは、これでは永遠に倒せないということだ。


「ふぅむ、貴様。吠えるばかりで吸っていないな、内側から食い破られるのは懲りたということか」


 吸っていない? あの運動量で、無呼吸なのか!?


「それもいつまで保つかな?」


 無理だ、内側から貫かれればまた。


「ははははは、我を相手に我慢比べをするか!!」


 もう吠えることもできていない、息を吸ったときが最後だ。俺は、見ていることしか。


「すぅっ」

「終わりだ、鬼。遺された血を消すのは忍びないが、これも試練だ」


 ダメなのか、砕けば砕くほどに地鳴りを吸ってしまう。


「がぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

「なにっ!?」


 え? 口から、衝撃波?


「今までの呼吸と叫びは嘘か、この一撃の、為の……!?」

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


 一気に吹飛んだ地鳴りの身体から宝珠が。あれを砕けば、あるいは……!!


「やらせると思うか!!」


 地鳴りとファスカの間に岩の壁が次々と。


「ははははは、幾度も再生する岩の壁だ。お前の息がいくら長かろうと、保つまいよ」

「ああああああああああああああああ!!!!」


 ほんの少しずつだが、声が細くなっていく。これを防ぎきられたら、きっと次はない。これが最後のチャンスかもしれない。


「いまやらなきゃ、いつやるんだよぉおおおおおおおおお!!!」


 地面に埋められたのが幸いだった、いくらでも吸い上げて回復にあててやる。体力が戻れば、まだ、腕が動く。


「アルカァアアアアアアア!!! ぶったぎれぇええええええ!!!!!」


 桜腕とアルカを限界まで伸ばし、そして、倒す、これは俺が、出せる、最大の攻撃だ。


「そんなものが効くわけがないだろうが!! いくら威力があろうとただ落ちる剣に当たるか!!」


 確かに避けられるだろうな、重力に従って落ちるだけのアルカなら。だが、その勢いを殺さずに軌道を変えられるならどうかな。


「ファスカ!!!」


 聞こえているなら応えてくれ、会ってすぐの仲だが、地鳴りを倒すにはここで斬らなきゃならないんだ。


「頼む……!!」


 タイミングは一瞬、そこで動いてくれ。


「ここだ」


 咆哮とアルカが交差する一瞬、既に地鳴りは居なくなってしまったが、射程圏内には居る。今しかない。


「聞こえたよ、オレの名を呼ぶ声が」


 オレの目には、一瞬の閃光が走ったようにしか見えなかった。だが、結果は、すぐに訪れた。


「く……見事、我が宝珠、砕け、散れり」


 振り抜いた格好のファスカ、そして、崩れ落ちる地鳴り。勝者は明らかだった。しかし、ファスカはその場に倒れてしまった。きっと身体の負担が限界を超えたのだろう。


「いやいやいや、地鳴りがやられちゃ締まんないでしょ? ちゃんと揃ってるから地震雷火事大風なのに」

「……え?」


 誰だこの3人? いや、この雰囲気は、地鳴りと同じ。つまり。


「我が名はシナト、君たちが吹き嵐と呼ぶ者」

「我が名はクワバラ、てめぇらが轟きと呼ぶモンだ」

「我が名はオコシ、あなた達が火吹きと呼ぶ災い」


 なんで、ここに、そんな奴らが


「はいっ、名乗って名乗って」

「く……上手く消えられると思ったのだがな……」

「はん、そうはいかねえよ」

「そうですよ、あなたがその形になったのならば。名乗りをするのが決まりです」

「ああ、そうだったな。久しく、忘れていた」


 地鳴りの身体が、宝珠と一緒に再生、していく、そんな……馬鹿な


「我が名はドゥミン、貴様等が地鳴りと呼ぶ試練」


 信じられない、目の前の光景を、信じたくない、目の前に居る災害を


「我らを乗り越えよ、さすれば、創造主への道が開かれよう。賢者の石を求めるならば、これは避けられぬ試練である」

「……今ここで、やるのか」


 地鳴り1人にこの有様だ、とても、勝てるとは。


「んー? そっちがやる気なら良いけど」

「何言ってんだ、それじゃあルール違反だ。自分の城造って待ち構えんだろ、そういうルールでやるんだろおれ達は」

「そう。わたしたちはそういうモノ。勝手に戦ってはいけません」

「だってさ、皆が真面目で良かったねー?」


 城を造って、待ち構える?


「城を造る前ではあるが、貴様等は我を打倒した。我が城に来たとき、証を授けよう」

「えー? 甘くない?」

「甘くはない。創造主が全盛だった時と比べてはいけないのだ」

「ふーん。ぼくにはそんなの関係ないね」


 今から、こいつらが世界に解き放たれて、根城を造るのか? そうなれば、その周囲は、きっと、根こそぎにされる。そこにはきっと、犠牲が、出る、だけど、俺にはこいつらを倒す力がない


「力が、ない、ことは。立ち向かわない、理由には、ならない、よな」


 強くなったら戦おう、勝てる戦いだけをしよう、そんな、そんなんじゃないだろう、俺が目指しているものは。


「あ、立つんだ? でもね、城ができてないからさ。ここはお開きなんだよね、じゃあばいばーい」


 風、強すぎる、踏ん張りが、効かない、身体が、浮く


「スカイ、フィッシュ」

「あーダメダメ、我をダウンサイズした製品じゃあ。我の風からは逃げられないよ」

「ちくしょう……!! 俺は……俺は……!! 絶対にお前等を……倒すぞ……!!」

「はいはい、楽しみにしてるよーん」


 敵とも、思われねえのか、俺は……!!


「くそっ……!!」


 風に乗せられる、どこまで、飛ばされるんだ……












【鬼結び】

おちるつるぎよ、にないてをまて、ときはおとずれる、ひらめきよ、ばんぶつをうがて、おわりは、すみやかに、しずかに。

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