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味がしねえよ

「さあ、乾杯」

「乾杯」


 あー、円卓にすわってしまった。こんな圧の中で何を食っても味なんかしないっての。


「好きに食べると良い」

「ありがとうございます……」


 肉も野菜も、魚もパンもまるで味がしない。きっと良いもんだろうに、もったいねえ。これならもっとリラックスして食いたかった。


「それで、シン君といったね」

「はい……」

「ラウンの翼と呼ばれていたが」

「実は、空を飛ぶ能力があって。それで護鳥相手に立ち回りまして」

「ほう? あの大カラスと、逃げおおせたのか」

「いや、勝ちました」

「……なかなか冗談が上手いな」

「事実です、あの卵が証拠になります」

「ラウン、盾を出しなさい」


 盾? なんでそんなものを。


「……」

「形が変わっているな」

「はい、護鳥様と戦っている時に変わりました」

「盾の形が変わるのは、ある種の覚醒を意味している。お前にとってこの男は相当な意味を持つらしいな」

「この方がいなければ、ボクは今ここにいないでしょう」

「……命の恩人というわけか」

「はい、命を拾い上げてもらいました」

「……そうか」


 圧が強いんだって、そろそろ手が震えてきそうだ。


「ありがとう」

「……?」

「この通りだ、家族を救ってくれて感謝する」

「あ、頭をあげてください!! ここで貴方が頭を下げることの意味はあまりにも大きい!!」

「それほどのことをしたのだ、どうか礼を受け取って欲しい」


 領主に頭を下げられている状態はあまりにも居心地が悪い、というかあんまりこの状態を維持すると良くない。


「受け取ってもらえるだろうか」

「受け取ります、受け取りますから!!」

「そうか、では受け取れ」


 は? 目の前、盾、飛んで、当た……!?


「あっぶ、ねえ!!」

「ははは、流石に避け……今当たってた気がするが」

「何をするんですか!?」

「いやなに、娘の恩人にホワイトシールドの真髄をお見せしようと思ってな」

「別に見たくないので帰っても良いですか!!」

「受け取るといったではないか」

「地獄の片道切符とは思いませんでしたよ!!」

「殺しはしない、すこし殴り合うだけだ」

「肉体言語は習得してないんですが!?」

「ははは、そろそろ次行くぞ」


 さっきの一瞬で顔面だけすり抜けを使って回避を成功させた、問題はそのすり抜けで結構な疲労感が襲ってきていることだ。息があがる一歩手前まで来ている。


「今度は胴体だぞ、不可解な避けかたをもう一度するか?」

「盾は投げるものじゃないですよ!!」

「直接殴ると殺してしまうのでな、これでも一応手加減なのだよ」

「恐悦至極です!!」


 もう一度すり抜けで避けても良いが、そうすると多分動けなくなる気がしている。だからこれは、別の手段で避けないといけない。


「さあ、どうする」

「うおらぁ!!!」


 1つ目の策、桜腕による物量で押しとどめる。


「……冗談だろ!!」


 盾が木を切り裂くな!! それは、身を守るものであって!! 丸鋸じゃないんだぞ!! 全然止まりやしねえ!! 尋常じゃない縦回転の暴力だ!!!


「さっきが面で飛んできたのに、線で飛んできてるせいで当たったら死ぬぞあれ」


 では2つ目の策。アルカによる迎撃。


「うおおおおおおお!!! だめかぁ!!」


 桜腕を最初に使ったせいで、生身の腕を使うことになった。全然パワーが足りない、弾かれた、


「クソ、こうなったら最終手段だ」


 これを見せるのはひどく危険だが、当たるわけにもいかない。


「スカイフィッシュ!!」


 わざわざ呼ぶ必要はない、これが道具のみの力だとバレるのを防ぐために咄嗟に思いついた苦し紛れだ。


「それがお前の翼か、良いだろう。次で終わりにしようか」


 大きく体を捻る体制、手には盾、横薙ぎの一閃になるだろう。それなら上下に避ければそれまで。しかし、最後の一撃でそんなことをするのか?


「ぬぅん!!」

「で、デカすぎる!?」


 手を離れた直後に巨大化した盾、面制圧をする攻撃から逃げるには屋内は狭すぎる。目の前に高速で壁が迫ってきているようなもんだぞ!!


「さあ、どうする?」

「……ぜぇ、はぁ、ぜぇ……これで、良いですか」


 壁が迫っているなら壁抜けをすれば良いじゃない、と思ってやったらもう死にそうだ。心臓が跳ねまくり、息上がりまくり、これ以上の運動は死を招くと身体が言っている。


「……なるほど、不可解な動きも含めて実力ということか。すまなかったな、試すような真似をして」

「どういう、ことですか? 何を試していたのですか」

「お前にこれをやろう」


 何だ? 投げ渡されたのは半分に割れた盾の紋章? これがなんだって言うんだ。


「それがあれば、盾王の領域内で入れぬ街はないだろう。旅をする身であれば垂涎の品だろう?」

「も、もったいなきご好意痛み入ります」

「そんなに畏まらずとも良い。お前はもう息子のようなものだ」

「……?」

「ラウン、翼を背にできたなら。このホワイトシールドの名を継げるかもしれんぞ」

「っ!? は、励みます!!」

「ふふふ、孫はまだ早いからそのつもりでな」

「なんてことを言うんですホワイトシールド卿!!」






 






【半盾の紋章】

盾王傘下の場所であればオールスルーのETC状態となるすごい紋章。

割れた盾は分身を意味し、盾王の分身と同じくらい丁重に扱わなければならない客人に与えられるもの。裏にはホワイトシールドの名があり、他の勢力への牽制になる。娘の想い人が盗られぬためのおまじないでもある。

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