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剣王④

「あー、パックのせいでなんか余計に疲れたな」

「へえ、あれが。初めて見たよ」

「なーんで俺を待ってるはずの剣王がまた来ているのか」

「やっぱり来ちゃった♡」

「来ちゃったじゃねえよ。どういうつもりだ」


剣のアルカを喉元に添える。一応こういうポーズは取っていた方が良いだろう。


それでもヘラヘラ笑っていると言うことは相当舐められているようだ。


まあ良い。俺が舐められる分には問題はない。


実際俺は弱いしな。


「ん? これもしかしてダマスカス」

「それがどうした。これのおかげで俺でも首くらいなら落とせるぞ」

「へえ? じゃあこうしようかな」


 剣王の動きは読み取っていた、賢者の石は機能していた。


 だが、それら全てをすり抜けた。


「は」


 剣王の腕にはいつのまにかカリバーンが握られ。振り抜かれた形になっていた。


 硬いものが壊れる音。


 がしゃりがしゃりと落ちる音。


 剣のアルカが。


 壊された音。


「まあ、こんなものでね? 別にダマスカスだから強いってことじゃあないんだ」

「あ」

「大丈夫さ。ダマスカスの剣なんていくらでも僕があげる」

「あ……ああ……」

「なんならミスリルでも、ヒヒイロカネでも、アダマンタイトでもなんでもあるよ」

「そうか、よく分かった」


 危ない。激情に飲み込まれるところだった。


「分かってくれて嬉しいよ。じゃあ僕の城で君の剣を見繕ってあげるから。手をとって」


 そう。


 ここは冷静に。


真鎧骨格(オメガベルヴェルグ)


 れい、せいに。


「グングニール・アルカオゼロ」


 おち、つ、いて。


「……落ち着けるわけねえだろ」

「え? 何か言った? それにしてもかっこいい鎧なんかいきなり着ちゃって、僕の城にドレスコードはないよ」

「黙れ剣王」

「っ……!?」


 身構えるには、半秒遅え。拳で右頬をとらえたぞ。


「びっくりしたなあ……」

「まずは1発だ。ズタボロの雑巾にしてやるよ、反撃も許さねえから覚悟しろ」

「は、はははははははははは!!!! それだよそれ!!!

僕が友達になりたいのは今の君なんだ!!! 完膚なきまでに敵を滅殺した君がね」

「寝言は寝て言え」


 次の一手をどうするか、これは実に難しい。不意をついて殴れたからと言って相手は剣王。


化け物だ。


単調な攻撃は全て切り返されると思っていい。


「なんだ、冷静だね。もっと大切なものを壊した方がよかった?」

「……お前本当に王様やれてんのか」


あまりにも邪悪な顔してるが。


土地ごと民を護る盾王に、自ら先陣を切って一兵卒を助けにくる槍王。


今まで見た王とあまりにも違う。


「もちろんだとも。僕の治世はみんな幸せさ」

「そうかよ」


決めた。せっかく直した家がまた吹き飛ぶが、関係ない。一帯まとめて吹っ飛ばしてやる。


「吹き飛べ!!」


グングニール・アルカオゼロによって炸裂する水と風。この大質量の前に人間1人で何ができる。


だが、念には念を。


「おまけだ」


グングニール・オメガを展開。剣王に向けて放つ。


二重の攻撃は確かに当たった。


手応えは十分だが……


「うーん、すごいな。もしかしてこの世界で一番強いかも」

「それならもう少し効いた顔をしてくれ」

「いやぁ、それがなかなかどうして相性がね? 残念だけど今の君が持っている武器じゃあ僕には傷をつけられないみたいだ」

「どういう意味だ」

「さぁね? でも目の前の事実は受け止めないと」


 確かにダメージは見えない。


 可能性を雑に考えたら3つだ。


 ①剣王はめちゃくちゃ硬い


 ②剣王は全方位攻撃を躱す術がある


 ③剣王にダメージを通すには特殊な条件がある



 発言を振り返れば、俺の持っている武器以外で剣王を殴れる装備があるような口ぶりだ。


 その条件は何だ?


 探りを入れるか。


「参ったな。これじゃあお手上げだ。まさか、俺の攻撃が通じないほど硬いとはな」

「……? まあ、そうとってもらっても良いよ」


 かかった。最初の間は的外れなことを言った俺に対するものだろう。


 つまり、剣王は硬くない。


「さて、力の差も分かったところで」

「いいや、分からない」

「無駄だって」


 グングニール・オメガを放つ。周囲を囲む槍の雨。だが一本も刺さらない。


 避ける素振りも、弾く素振りもない。そんなことをする必要がないと言わんばかりに。


つまり、剣王は避けていない。


防御力でも回避力でもないのなら。


俺はこんな風に傷つかない存在を知っている。


「お前人間じゃないな。もっと厳密に言えば、風の巨人とは別の世界から来ている奴だ」


 同じところから来ていたら俺の攻撃が通るはずだからな。


「どうだろうね。別の世界なんて聞いたこともないし」

「じゃあこれならどうだ」

「あ、逃げる気だな」


 剣のアルカを砕いた罪は必ず償わせる。だが、それは今じゃない。あいつに届くものを手に入れる。話はそれからだ。


「逃さないよ」

「いいや、逃げる」


 攻撃が効かなくても視界は封じることができるだろう。


「ふんっ!!」


 大量の桜を目眩しに、足元には水を流して妨害に。そして全速力をもって跳ぶ。


「うわっ!? こりゃあ参ったな」

「次に会うときはお前をぶちのめす時だ!! 覚えてろ剣王!!!」

「あんまり三下っぽいことを言うものじゃないよ?」

「その余裕を消しとばしてやるからな……!!」



 





 








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