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剣王③

「ここをこうして、こうか」


 家の間取りは覚えているし、力仕事は賢者の石製品のパワーでどうにかなるしで、家の再建は割と順調に進んでいった。


 これ以上は流石に職人の領分というまではなんとか仕上げたので、一旦横になることにしようか。


「あー、色々あったが少しずつ前に進んでいるな」


 不明なことも依然多いが、おいおい探りを入れていくとしよう。今はあと2つの災害をどうにかしないとな。


「まあ、吹き嵐があんな風に倒せたなら他のも大丈夫だろ」

「あー、それなんデスが」

「のわっ!?」

「あ、すみまセン。驚かせましタカ」

「ぱ、パック!?」

「ドーモ、ご無沙汰デス」

「どうしてここに……槍王はどうしたんだ?」

「ロンちゃんですか、今は最終調整に入ってマスから大丈夫デス」


 最終調整? なんか引っかかる物言いだな。


 今問い詰めてみるか? それともここに来た理由のほうを聞くべきか?


 いや、どっちも聞くか。


「何か言いにきたのか?」

「ソーデスネ、あなたに言うことがあって来ました」

「それを聞いたら俺も1つ聞いて良いか?」

「……何を聞く気デスカ」

「それは何を言われるか次第だな」

「まあ良いデス。では面倒なことは抜きにして聞きマス。賢者の石メンバーに会いましたカ?」


 会ってないと言えば嘘になる、現に俺は再誕卿と名乗る奴に会っている。それをそのまま言って良いものか。俺たちを人柱にする気っていう話だったしな、


嘘吐くか。


「いえ、言わなくて良いデス。その思考時間でだいたい分かりマシタ」

「分かった? 何がだ?」

「あなたが他のメンバーと会っていたことがデス。まあ、何を言われたかは分かりマス。良いことは言われなかったでしょうネ」

「そうだとしたらどうするんだ?」


 俺に挑んでくるか? こいつの戦闘能力は未知数だぞ。


「いえ、どうもしまセン。どうするかはプレイヤーであるあなたが決めることデス。あくまで今の賢者の石は制作者側デスから」

「……そうか」

「デスが、言いたいことだけは言わせてもらいマス。剣王と戦うのは避けたほうが良いデス、そして信用しない事デス」

「その口ぶりだと、理由は教えてもらえなさそうだな」

「ええ、これは独り言と同じと思ってくだサイ」

「俺から聞くことには答えてもらえるのか?」

「答えるかどうかは質問次第デス」


 まあ、当初の方針通りロンの最終調整に関して聞いていくか。


「槍王の最終調整っていうのはなんだ?」

「それはあなたが知る必要はありまセン。でも、次に戦うときは指1本触れる事もできまセンよ」

「へぇ。俺も結構強くなってると思うんだが」

「私の最高傑作は、その程度でどうにかなるものではありまセン」


 そうか、良い目標になる。


「それは、最終的に俺の敵になるということで良いのか」

「あなたが今のまま突き進むというのなら、そうなりマス。私は私の世界を守ります、そのためにはどんな手段でも取りマス」


 この目は本気だ、いずれパックは俺の前に立ちふさがるのだろう。ならば、準備が完全に整ってしまう前に消してしまったほうが良いか。


 相手の武装は見えない、俺の攻撃を防ぐような装備があるとしても、パックの手札を1枚見ておくのは悪くない。事実上の敵対宣言をしてきたんだ、殴られても文句は言えないだろ。


「それを言ったということは、無事に帰れない可能性があることも分かってるよな」

「あなたが私を害すと?」

「いずれ敵になる相手を帰すと思うか」

「それは、今戦うということデスか。このパックと? 腐っても賢者の石に名を連ねた私を殺すと言うのデスか」

「俺の敵になるなら、そうなる可能性もある」


 攻撃的なことを言う割に殺気とか、敵意は感じられない。戦う意思がないか、もしくは。


「……ぽいっと」

「あ!? 何するんデスカ!!」


 うわー、身体が揺らめいた。ということは今のパックに実体はない。というかこれ姿を投射してるだけか。


映像相手に一人で勝手に盛り上がって恥ずかしいな。


「どうりで余裕なわけだ。俺からはどうやっても手出しができないってわけか」

「バレてしまっては仕方がありまセン。その通りです、これは立体映像デスから。どんなに凄んでも怖くありまセンから」

「白けたな。戦意はもうない、それで本当に俺の敵になるんだな?」

「時と場合によっては。あなたが私の世界を守れないと判断したのなら容赦なく刈り取りマス」

「じゃあ安心した。俺は俺の守りたいものと一緒にお前の世界も守ろう。それはきっと同じ事だろう?」

「……今のところは信じてあげマス。ロンちゃんの仕上げは正直やりたくないので」

「そうしてくれ。きっとなんとかなる」

「楽観的デスネ、でも良いデス。これから見ていマスから」


 ブツンという音と共にパックの姿は消えた。




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