剣王②
「剣王陛下、残念ながら友人は募集してはおりません」
「まあ今すぐじゃなくて良いから。僕の城に来てくれるみたいだし、これの話もしたいしね?」
剣を見せびらかすように抜いたか、それをどうするってんだ?
「この剣の銘はカリバーン。僕の名前と同じだ、そして古の賢者が遺した物でもある。君もこういうものを集めているんだろう」
「……こういうものとは?」
「分かってるだろう。わざわざ口に出さなきゃだめかい?」
カマをかけてみたが、さすがに躱されたか。だが、賢者というワードを意図的に言ったということは、まあある程度知っていると思って良いか。
剣王にも槍王のように賢者の石関係者がいると思った方が良いな。そうじゃなきゃたどりつくわけがない。
「じゃあ待ってるよ」
執事を回収して帰ったようだな。
「あれ、これって行かなかったら相手が勝手に焦れて情報を話してくれたりしないかな」
「……おすすめはしないな」
「そうですよね」
盾王に窘められてしまった。仮にも一国の王を相手にそんなことをするべきじゃないか。
「それに、剣王の挨拶はまだ終わっていないようだぞ」
「まだ……?」
なんか飛んできた!? 三日月状の飛び道具か!!!
「これが挨拶かよ!! さわやかな顔して意地が悪いな!!!」
「これくらい相殺してもらえないと困るということだろう」
居城からここまで飛んでくるとか意味が分からない。
「グングニール・オメガ」
1本だと足りなさそうだな。
なら10倍だ。
「行け」
10本の槍が正面からぶつかった。流石に10本もあれば力負けはしないだろ。
「ん?」
押し負けてねえか?
「このままだと直撃する軌道に見えるが」
「なら、もっと火力を上げるまで」
実はまだグングニール・オメガの連射性能は試していない。良い機会だから、限界までぶち込んでみようじゃねえか。
「グングニール・オメガ」
一点突破を目指すなら同じ地点に延々と撃ち続けるのが良いだろう。秒間10発が俺の限度らしいが、もうちょっといけるだろう。
「砲門増設」
カタハ、アルカ、オゼロを素体としてグングニールを撃ち出す砲門を3つ増やした。
フリズが高火力必殺ならこっちは数を最優先にした形態だな。
「けったいな形だネェ」
「なんだこりゃあ!?」
「ワン!?」
「急で悪いな、撃ち尽くすぞ!!」
砲門が俺を含めて4つ、そのうち3つは俺の数倍の連射能力がある。それが生み出す秒間100発のグングニール・オメガ。
これならどうだ。
「はははははははははは楽しいなこれ!!!!」
何かを撃ち出すことに中毒性があるとは聞いたことがあるが、まさかこんな気持ちだったとは。
視界を埋め尽くすグングニールの前では流石に剣王の挨拶も消し飛んだようだ。
「ふぅ、厄介な攻撃だ」
今回は距離があったから手がうてたが、至近距離であれが飛んできたらなかなか手を焼かされるな。
近距離で即時展開できる手段を用意しておくべきだろう。
「さて、どうする? 私の領地まで戻れば馬車の一つでも貸し出せるが」
「いえ、移動手段はあるので」
「そうか。では私も帰るとしよう、執務が山になっていることを思うと気が滅入るな」
「どうかご健勝で、またその盾をお借りする時が来るかもしれません」
「あと十年は現役のつもりだ。その間なら我が盾は何ものも通さないとも」
「心強い限りです。ではまたいつか」
「さらばだビクトリウスの若人よ」
これで盾王陛下との共闘も終わりか。万が一敵に回ることも考えてあの盾を貫く用意もしておくか。
「……休んでから行くか」
余力はあるが、剣王と戦う可能性がある以上は万全の状態にしたい。休養は必要だ。
「問題は戦闘の余波で家がボロボロってことだよな」
幸い俺の部屋はなんとか無事なようだし、賢者の石を最大限活用して家を直して行くか。
今の俺が全力で家を作ればどうなるか楽しみだ。




