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吹き嵐②

「うおらぁああああああああああああああ!!!!!」


 俺の周りを囲んでいる風を吹飛ばすんだ、槍を投げる先は正面じゃねえ。真下にぶち込んで周囲を丸ごと吹飛ばしてやる。


 俺が1番近いから、1番ダメージを食らうのは俺じゃね?


 なんてことはない。


「信じてるぞ」


 俺が纏うカタハがこの程度で砕かれる訳がない。俺の生身なら跡形もなくなっているだろうが。


「吹きとべぇええええええええええ!!!!!」


 水と風、海と桜、その2つが合わさって起こる現象はとても奇妙だった。桜混じりの水が爆発的に回転していく。言わば水竜巻のようなものが、俺の周囲を飲み込んでいく。


 吹き嵐が展開した風もこの暴威の前には為す術もないだろう。


「それはどうかな?」

「おまっ!?」


 目の前に吹き嵐


「確かにこれならぼくの風もそのまま押しつぶせるよ、でも黙って見てるわけないじゃん」

「だと思ったぜ」

「え?」

「俺が賢者の石を手に入れている事を知っているのに、なんでバレないと思ったんだ。今の俺に不意は存在しない。不意打ちしたいなら地平線の彼方から瞬きする間もなく攻撃してこい」

「まずったかな……?」

「そうだな、お前はずっと隠れているべきだった。姿をとってここに出てきた時点で終わりだ」

「終わらないよ!!」


 吹き嵐の手には風を固めたような刃、俺の武器と比べたらなんて貧弱な棒きれだろう。


 きっと風のような迅さで斬りつけることができるんだろう。


 だが、それでも遅い。


「大技を撃った後ですぐに攻撃できないでしょ!!」

「大技?」

「そうだよ!! この水が大技じゃないなら何が大技だって言うのさ!!!」

「それってこれのことか」


 俺の手にはグングニール・アルカオゼロがあった。


 確かに俺はこの槍を地面にぶちかました、それでこの結果が引き起こされたのも確かだ。


 だからと言って、これでアルカオゼロが打ち止めだなんて誰も言ってない。


 別にやろうと思えば、2本でも3本でも出せる。


 必要がなかったから出していなかっただけだ。


「そんな、嘘でしょ」

「嘘じゃない。これが今の俺だ」

「……完敗かな」

「そうだな。それじゃあ食らってくれ」

「ちぇっ、もうちょっとかっこよくやられたかったなぁ!!」

「死闘がしたかったなら、少し遅かったよ」

「はは、そう、だね」


 アルカオゼロの直撃を食らった吹き嵐は水の嵐に消えた。


「……災害と言うわりには、良い奴だったけどな」

「え? もしかして悼んでくれてるの?」

「ああはいはい。倒した後も居るんだったなそういえば。火吹きもそうだったよ」

「二番煎じで悪かったね、じゃあ何をもらうかも知ってるよね?」

「羽だろ? お前なら緑色の羽か」

「そうだね。注意点もオコシから聞いてるでしょ」

「ああ、食うなって言うんだろ」

「そう、あとこれは我からのお礼だよ。暴走した城を倒してくれたからね」


 吹き嵐がスカイフィッシュに触れる、少し光ったあとにデザインが変わったように見える。とはいえ緑の線が入った程度のものだが。


 とはいえ、これでスカイフィッシュが解禁されるわけか。となれば空中戦から移動まで幅が広がるな。


 楽しみだ、これでできる事がまた増えるぞ。


「我の一部を入れ込んでバージョンアップしたよ。これはもうスカイフィッシュなんていう既製品を越えたオリジナル。君の属性を考えるなら、空駆ける神馬の名が相応しい。名前はもう分かるでしょ? 呼んであげてよ」


 うわ、なんか頭に情報が、ちょっと気持ち悪いな。


 だけど、まあ。


 名前は分かった。


「スレイプニルが新しい名前か」

「うん、大事にしてあげてね。結構寂しかったらしいから」

「寂しい?」

「あれ? 知らなかったの? 君のスカイフィッシュには自我が芽生えていたんだよ」

「え?」

「うわー、これは怒るぞー、まさか1番の古株がこんなに蔑ろにされているなんて思いもしなかったなー」

「待て待て、薄れるな。スレイプニルの事をもう少し教えてから消えろ!?」

「はははは……はは……」


 消えやがった……


「え、怒ってる?」


 スレイプニルは答えてはくれなかった。







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