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前章
空に対する憧れのようなものを自覚したのがいつなのか定かでない。
人間を地上に縛り付ける重力を振り切り天高く駆けることに勝ることは無いだろう。
そう夢想していた。
そのための努力も人一倍した。
成績も自慢ではないがそこそこ良かった。
航空士官学校に進学、パイロットこそなれなかったが自分の成績なら戦術航法士として卒業後は爆撃機に搭乗し順調にキャリアを積むはずだった。そう確信していた。
ところがどういうわけか、変な欲を出したせいか、辞令書には「第一航測連隊」という奇妙な文字がにじんでいた。