表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/98

巨木の村7

 突然現れた男たちに捕まって、運ばれている。男たちは私を商品だと言った。強い力で拘束されているわけではなかったが、力の弱い私は抜け出すことが出来ず、悔しさで涙が滲んだ。

 馬車の荷台の上に転がされて、上から布が掛けられる。

 このまま何処かに連れて行かれてしまうのかしら。おばばとシルクの顔が浮かんだ。おばばには本当に良くしてもらった。村に現れた私を匿ってくれたのだから。閉鎖的な村では批判されることもあっただろう。それでも私を家においてくれた。

 シルクにも、ちゃんと仲良くなりたいと伝えれば良かったと悔いが残る。そういえばシクルは湖には来るなと言っていたわ。シルクにはこの事がわかっていたのかしら。


 ・・・!

 シルクの声が聞こえた気がすると、男たちが騒ぎ始めた。

 強い力で体が持ち上がる。

「あわわわわ・・ 」

 拘束が解かれたので見ると、白い髪をなびかせた後ろ姿があった。

「シルク・・・?」

 いつもとはシルクの格好が違うようだ。こちらを振り返ったシルクは、黒光りする軽装の鎧を身につけ、鎧の裾から白いフリルがのぞいていた。背中には角度によって虹色に光るマントをたなびかせている。

 男たちはシルクに逆上している。

 シルクが牙のある男に向かって走り出した。男はサーベルを構える。

 えっ!!

「シルク!!!」

 サーベルが振り下ろされる。危ない!!

 シルクは素早い動きで、サーベルを小手を使って弾き飛ばした。そのまま男に体当たりを食らわす。

 大柄の男は、シルクに弾き飛ばされて、背中から太い木に激突し、そのまま動かなくなった。

 残された男たちは、必死で起こそうとしていたが、シルクが一歩踏み出すと、

「ひー!!化け物!!」

 慌てて、のびている男を荷台にのせると、馬車を走らせて逃げていった。


 馬車の音が聞こえなくなると、

「シルク~」

 腰が抜けて動けなくなる私にシルクが近寄ってくる。パタパタと埃を払うようにして、少しずつ元の服装に戻っていった。

「ちゃんと、怪しいやつらがいるから村から出るなと言えば良かった。悪かった。」

「シルク!ありがとう!もう二度と会えないと思った~。」

 泣き出した私の頭をゆっくり撫でて、優しく立ち上がらせる。

「村に帰った方がいい。おばばが心配してる。」

「なんで?わかるの?」

 小さな羽音が聞こえた。

 シルクが指を差し出すとそこに小さな蜜蜂が止まった。

「村に残しておいたこの子が、教えてくれたよ。おばばが駆けつけようとして、村人に無理やり止められたらしい。」

 鬱蒼と繁る樹木を見上げて、

「おばばからはここは見にくいだろう。まだ助かったことを知らずに心配してるはずだ。」

 シルクはなぜ色々なことを知っているのか、不思議ね。すべて、あの蜜蜂が教えてくれたのかしら?

「そうね。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ