表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/98

グランデールの街1

 街に入ったといっても、はじめのうちは家も人もまばらだった。

「道が多くて迷いそうね。」

「宿屋や、朝市の場所も探さなくてはならないな。今日が今までで一番歩かないとならないかもしれないなぁ。」

 街に入れば、すぐに栄えている場所がわかると思っていたのだが、歩いてみてわかった。街が広すぎて、目的の場所がわからない。

「食べ物の買い方もわからないし、歩いて探すしかないわよね。」

 信頼して聞くことのできる知り合いもいない。まずは歩いて探してみるしかないだろう。

 二人とも、家族を除いて、親切にしてもらったことはない。さらにフローラがさらわれそうになったことで、かなり警戒していた。

 しばらく歩いていると、建物も人も増えてきた。馬車も停まっている。

「観光馬車だよー。一人千ルビーだよー。朝市や宿屋街、飲み屋街、観光に来たら一度は見ておきたいところまでまわるよー。乗っていかないかい。」

 馬車の近くで呼び込みをしている。

 今から探さないといけないところはまわってくれそうだ。鍋とかごを買って、荷物の増えてしまったフローラを歩かせることなく、しかも確実に探しているところがわかるのであれば、千ルビー払ってもいいだろか。宿屋でいくらかかるかわからないが、歩き回ったあげく、朝市も宿屋も見つけられなければ、本末転倒だ。

 歩く気満々なフローラを呼び止めた。

「フローラ、観光馬車にのれば、朝市も宿屋もわかりそうだぞ。安くはないと思うが、案内してもらわないか?」

「お金、大丈夫かしら?」

「やみくもに歩いていて、朝市も宿屋も見つけられないなんてことがあるかもしれないからなぁー。」

「それは困るわ~。」

「朝市がわかれば、売るものがないわけではないし。どうだろか。」

「シルクが大丈夫なら、私はいいわよ。」

 そんな言い方をしながら、馬車に乗りたくなったようでウキウキしているようだ。



 馬車に近づくと、すでに2人乗っていた。しばらくすると全部で6人になり、出発した。

 綺麗なアーチ型の石橋や、大きな噴水を案内をしてもらい、四角い建物がたくさん立ち並ぶ工場地帯を遠くから眺めた。高級住宅街で、装飾に富んだ豪邸を見て回り、最後に朝市、宿屋、店が集まるところで、馬車を降りた。

 馬車の中でも人の多さに驚いていたのだが、この場所は特に人が多い。まっすぐ歩くだけでも回りを気にしていないとぶつかりこそうになる。

「ごはん食べるところ、たくさんあるわね。あれってどんな食べ物かしら?」

「綺麗で大きな宿屋が多いなぁー。」

「お金の心配もあるけど、なんだか楽しくなってきちゃったわ。」

 近くの綺麗な宿屋に値段を聞くと、一泊2食つきで1人1万ルビーであった。

「住むところが見つかるまで何泊するかわからないし、二人で2万ルビーは出せないよなぁー。」

「そうね。いつかはあんなところに泊まってみたいわー。」

 フローラは、楽しそうだ。

 安そうな宿屋を探して歩いていると、急に声をかけられた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ