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93.先輩の謝罪

 そんなある日、シオリが一人で、店内の左奥のテーブルに壁を背にして座っていると、チャットで珍しくユキがログインしてきた。


『お久しぶりです』


『元気してた?』


『はい。今日も本屋ですか?』


『毎日よ。大学生活謳歌してごめん』


『いいえ。シオリさん、ちょっとお話があるので、そちらに行っていいですか?』


『歓迎よ。待っているから』


 ここしばらくユキの顔を見ていないので楽しみというのもあるが、本当は、まだ来ていないマサキの防壁になって欲しいと言う気持ちがシオリに強く働いていた。


 書き込んでから首を伸ばし、衝立の向こうにマサキらしい姿がないことを念のため確認してホッとする。とはいえ、頭しか見えない席もあって油断は出来ないが。



 短編を2冊、中編を1冊書いてもらって、次の注文をどうしようかと思っていたその時、セバス君が扉を開ける音が聞こえてきた。シオリは、ユキかと思って首を伸ばした途端、亀のように首を引っ込めた。


 マサキが一人で店内に入って来たのだ。


 お目当ては自分しかいない。緊張の面持ちで待っていると、マサキがシオリを発見し、向かいの長椅子へやって来て腰掛けた。


 シオリが「また勧誘ですか?」と苦虫を噛みつぶしたような顔で尋ねると、「今日は違うよ」と言葉を返してきた。


 ついに諦めたかと安堵していると、マサキは笑顔を消して「今更言うのもなんだけど」と言葉を濁した。


 シオリが『もしや?』と思っていると、その『もしや』だった。


「昔のこと、謝りたいんだ」


 そう言ってマサキは、深々と頭を下げた。


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