表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/121

91.人を見極めて答えを変えるアンドロイド

 セバス君がマサキに近づいてきた。


 マサキが「あのさ」と切り出すや否や、セバス君はマサキの席の方へ右手を伸ばし、少し腰を屈めながら言葉を(さえぎ)った。


「お客様、席はあちらではないでしょうか?」


「――なっ! おい、客が話をしてんのに、なんだその態度は?」


 すっかり迷惑客を演じているマサキだが、声は大きくない。ナナミの忠告がまだ効いているのだろう。


「いえ、席を移られたのでしたら、そうおっしゃっていただかないと、お客様の席はあちらになって会計が混乱しますので」


「はいはい。わかりましたよ――っと。今あっちに移るから」


 シオリがホッとするのも束の間――、


「と、その前に()きたいことがあるんだがいいかな? この店のことなんだけど」


 なぜか、セバス君の動きが固まった。


 緊迫の空気が流れる。


「あ、あ、そう構えなくて良い。簡単なことなんだ。この店で本を注文出来るよね?」


 シオリは心の中で『それは新刊本? 既刊本?』とツッコミを入れる。


 セバス君は答えず、マネキンにでもなったかのように固まって、マサキを見たままだ。この異様な雰囲気を紛らしたいため、マサキが咳払いを一つして、


「誰がどこで書いているの?」


 そう言ってフーッと息を吐く。シオリの緊張がMAXに達したその時、


「それは企業秘密でお答えできません。他に企業秘密に触れないご質問はございますか?」


 しばし無言のマサキは、視線を(さま)()わせてから「あっそ」と言って肩をすくめた。そうして、シオリを見てつぶやいた。


「これじゃあ、知らないわけだ」


 安堵したシオリはそれには相槌を打たず、頭を掻きながら立ち去るマサキの背中を目で追った。


 その時、セバス君がシオリの方をチラッと見たことをシオリは気づいていない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ