表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/121

69.店員を試す

「私、レアチーズケーキとエスプレッソ」「僕は……梅酒ないの?」


 後ろから聞こえてきたマサキの注文に、シオリは首を傾げる。


(お酒なんか置いているはずないじゃない。ここは喫茶店よ)


 これに対してセバス君が何と対応するのか耳を傾けていると、


「メニューからお選びください」


 つまり、置いていない物を注文するなということだ。


「メニューどこよ?」


「スマホはお持ちでございますか?」


(えっ? 先輩ってまさか手ぶらでここに?)


「あるけど――ほら。……で、どうすりゃいい?」


 どう考えても、初めての来店の様子だ。ということは、女の方が先に会員になったのだろう。()()()()()()()らしいから。


 セバス君が『お品書き』からメニューを表示できることを説明していたが、マサキは「酒くらい置いとけよ」とボソッと前置きしてから「コーヒー」と曖昧な注文の言葉を発した。


「メニューからお選びください」


 そう。コーヒーはカテゴリーの一つで、アメリカン、ブレンドなど様々な種類あるのだ。


「わかったよ。エスプレッソ」


「かしこまりました」


 そう言ってセバス君が後ろを振り返って歩き始めると、今度はシオリの前にやって来た。予想もしていなかった彼の行動に、シオリは動揺して腰が浮いた。


「オレンジペコーでしたね? ホットでしょうか?」


 シオリが言いかけて(さえぎ)られた注文をセバス君が覚えていてくれた。ジワッと涙を浮かべて「はい」と(うなず)いたシオリは、セバス君の背中を見ながら手の甲で涙を拭った。


 その時、後ろの女がおかしなことを口にした。


「試してどうだった?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ