表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/121

60.完成しない作品たち

 ちょうど、セバス君が飲み物を運んできた。テーブルにコースターやコップを置くときの手つきが慎重で小刻みに揺れるので、どうしても手が出てしまいそうになる。セバス君が去った後、シオリがその話を持ち出すと、ユキも同感だという。


 口に手を当てて静かに笑うユキが、「そういえば――」と切り出した。


「お名前を伺っていませんでした」


 間接的に聞いていたシオリだが、もちろん、知らないで通す。


「そうでした。お互いに自己紹介が遅れていましたね」


 シオリの方から先に名乗り、ユキも名乗ったが、早くも互いに下の名前で呼ぶことが決まった。


「ユキさんが熱く語ってくれたおかげで、恥ずかしがらずに投稿しようかなと思いました。ありがとうございます」


 すっかりその気になってきたシオリは、吹っ切れた表情でユキに感謝の言葉を伝えた。


「それは良かった。是非、シオリさんの小説を読ませてください」


 まだ、ぎくりとするシオリだが、平静を装う。


「投稿サイトのおすすめは、ありますか?」


「私の所で良ければ」


 ユキは、サイト名と自分のユーザーネームのメモをシオリに渡す。シオリは、早速スマホからそのサイトへアクセスし、ユキのユーザーネームで検索すると、20作品もヒットした。


「たくさん書いていらっしゃるのですね」


「エターが多いですが……」


「勉強や宿題が忙しくて――とか?」


「それを理由にする人をいろいろ知っていますが、私はそんな責任転嫁をしません」


「と言いますと?」


「単純です。行き詰まるのです」


 ユキは、(ため)()うことなく、自分が途中で挫折することを打ち明けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ