表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/121

56.乱立するあだ名

 ユキは、シオリの顔を見て吹き出しそうになるのを堪えた。


「本人は名乗りませんが、みんなそう言っています。なぜか、マイケルなんて呼ぶ人やルークなんて呼ぶ人もいますが、少数派ですね。セバス君は初めてです」


「そ、そうなんですか……」


 シオリは、セバス君がミキだけの呼び名なのかを彼女に問いただそうと決意する。


「バトラーと聞くと、『風と共に去りぬ』を読んだ人はレット・バトラーを思い出すみたいですが、もちろん執事の意味です」


 ユキがそう解説しているうちに、セバス君というかバトラー君がテーブルの横に立ったので、彼女は「ロイヤルミルクティーをアイスでください」と慣れた口調で注文する。


 シオリが解せない表情で「アイスコーヒーでお願いします」と続けると、客によって二つ名の呼び方の異なる店員が「かしこまりました」と承って去って行った。


「セバス君って、もちろんセバスチャンから来ていますよね?」


「え……ええ」


「バトラーより良いかも。私も、セバス君にしようかな」


 ユキは、白い歯を輝かせた。こんな笑顔も見せてくれるのだと、シオリは感激した。これで、セバス君と呼ぶ同盟に新メンバーが加入したことになる。


 店員は、よく見ると名札を着用していない。()いても自分から名乗らない、これは、()(かつ)にサーバー名を口にしないよう名前を明かさないからか。それが、客の憶測を呼び、思い思いに名付けたあだ名が友人の口を通じて広まり乱立しているのだろう。


「ところで」


 ユキが、少し真面目な顔になって切り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ