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41.お気に入りの席

 AI新書店別館開店の10時になった。


 大学の授業に出ているシオリは、机の下でこっそりとスマホを操作し、お店の空席情報をチェックする。


 もう客がいる。しかも三人。開店と同時に入ったのだろう。


 三人が3つのテーブルに一人ずつ座っている。しかも、自分が最初にミキと座った記念すべきテーブルに、誰かが座っている。


 なんだか、思い出の場所を取られた気分で、ちょっと悔しい。


 あそこの席は、居心地がいいのだ。一番奥なので、後ろは誰もいないし、トイレは近いし。最後の利点はオマケのようでいて、シオリにとっては重要。


 でも、自分の()()()()()()を作ってしまうと、そこを他人に取られたとき、イヤな思いをしながら読書をすることになる。そうまでして店にいたくない。


 なので、彼女は席はどこでもいいと、自分に言い聞かせた。


 にもかかわらず、彼女は、スマホを覗く度に初めて座ったテーブルの位置へ視線を向けてしまい、知らず知らずそこの空き状況を確認していた。


(ああ、空かないかなぁ……)


 別に、今すぐ店に行くわけではないのだが、他人がお気に入りの座席を尻で温めているのが悔しい。どこでもいいというシオリの考えは、すでにどこかへ吹き飛んでいた。


 そんなシオリが授業中に大胆にもスマホを机の上に置いて眺めていると、


「はい、そこ、携帯を見ない!」


 老齢の教授に叱られて、シオリはしゅんとなった。

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