115.攻撃者の特定
「有線LAN接続……完了。
VPN接続……完了。
定義パターン最新化……完了。
センター接続……完了。
ログ解析依頼……完了。
ログ送信…………………………完了。
解析結果受信…………………………………………完了。
攻撃パターン……DDoS。
送信元アドレス……偽装。
侵入経路特定……完了。
経由プロバイダー特定……完了。
送信開始時刻取得……完了。
送信元特定……………………完了。
会員照合……完了。
強制退会……完了。
告発手続き……完了」
シオリたちも客達も、全員がポカーンとした表情でセバス君を見つめていると、彼はニコリと笑った。
「ご安心ください。皆様の読書を邪魔していた人には、しかるべき処置を執りました」
このしかるべき処置については、何も語られなかった。
シオリはセバス君を見つめながら、ミキの耳元で囁いた。
「ねえ。結局どうなったの?」
「ん? ……おそらくだけど、AI新書店別館の会員の誰かが、サーバーにDDoS攻撃を仕掛け、追跡調査で人物を特定されて強制的に退会させられた――ってとこかな」
「誰が?」
「それはわからないけど……」
そう言ってミキはフッと鼻を鳴らして笑う。
「どうしたの?」
「案外近くにいた人物だったりしてね」
その言葉にある人物を思い浮かべたシオリは、血の気が引いて体を小刻みに震わせた。