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11.執筆済みの本は時間限定で自分専用

「家帰ってもスマホで読めるよ。ただ、一度書いてくれると、48時間後に『執筆済み作品』として他の人も――もちろん会員オンリーだけど――AI新書店別館のホームページで検索できて注文できるようになる」


「えっ? そうなの?」


「お金出したから自分の物って感じがするけど、せっかく書いたのだから他の人にも読んでもらいたいのは人間もAIも同じってこと」


「つまり、ドリンク代を引いた残りは、48時間自分だけが読める権利への対価? そう思うと高い感じがする」


「それ、間違いなくこの部屋の賃料も人件費――アンドロイドのメンテ代も会社の利益も計算から抜け落ちているけど」


「あっ、そっか。まあ、諸々経費を引いた残りが――って考えると、そうでもないかぁ」


「それに、著作権者はあくまでAI新書店側で、それを客に譲渡するわけじゃないから、注文した人は作品を独占できないよ。……まあ、自分が()()()()に読めて、48時間自分だけが読めるって快感はあるからいいけどね」


「さっき、あらすじを書くコースがあったみたいだけど、そのあらすじってお客さんの著作権じゃないの?」


「AIが書いた小説の一切の著作権は、AI新書店側に帰属することになっている」


「なるほどね。じゃあ、AIが書くときの作者の名前は? 編集者は?」


「ジャンルと作品の傾向によって、異なる作家のペンネームが出てくる。書いているAIは1つだと思うけど、ヴァーチャルな作家の名前を割り当てているんじゃないかな? 似たような作風は同一ペンネームにしておけば、その方がリアルっぽいし。なお、編集者は固定で、ハル・シュヴァルツ。出版社はAI新書店で、著作権はそこに帰属」


「フーン。出版社は別館じゃないんだ」


「あっ、言われてみればそうだ……」


「じゃあ、要素指定コースを教えて」


「早速、お任せコース試さないの?」


「私は、『現代日本を舞台にした恋愛小説』と範囲を絞りたいから、要素指定コースがいいかなと」


「どんな作品が出来上がってくるかわからないスリルがあるのに」


「ミキみたいに、どんな(たま)でもキャッチするほど守備範囲は広くないから」


本を独占できる時間も変えました。

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