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106/121

106.施錠されたはずの扉が開く

 セバス君が倒れ、厨房の人が倒れた。片やアンドロイドで、片や人間だとして、人間まで倒れるのは理解に苦しむ。


 腕を組んだミキが、顎に右手を当てて推理を披露する。


「うーん……。サーバーが重くなって、突然、店の人がバタバタと二人とも倒れた。……ってことは、厨房の人は人間じゃないな。アンドロイドと考える方が自然だよ」


 客達の中からホーッという声が上がった。厨房の方にいるのは人間だと思っていた客もいたのだろう。


 ミキの言葉にカンナは首を傾げた。


「じゃあ、なんで重くなると倒れるんだろう?」


 彼女の疑問に対して、客達は一斉にうんうんと(うなず)く。ちなみに、カンナも――もちろん、ユキも――セバス君がサーバーであることを知らない。


 シオリは気が気でない。なぜなら、この話を突き詰めていくと、セバス君がサーバーであることがバレかねないからだ。


 それはミキも気づいたようで、どうやって話を軌道修正しようかと顔に困惑の色が滲み出てきた。


「それはですねぇ……、ええとですねぇ……。えっと、みなさん、三日前と今日とはサーバーの重さに違いがありますか?」


 客達が顔を見合わせていると、カンナが「それは――」と言って手を上げた。


「日に日に重くなっていった、って感じですね」


 すると、一人の中年女性が「今日は特にひどいの」と付け加えた。


 ミキが長考に入る。


 彼女がここで思いついた理由は、ここではなくどこかにあるサーバーが重くなると、アンドロイドを制御している何かの処理が遅くなり、二人が倒れたというものだ。これなら、セバス君イコールサーバーという疑いがかけられないはず。


「うん。なんとなくわかってきた。どんどん重くなって、ついに倒れた。ということは――」


 ミキが、作り上げた理由を言おうとした途端、扉がギーッと重い音を立てて店内に向かって押し開かれた。


 あり得ないことが起きている。


 開くのはいつも、扉のこちら側からセバス君が解錠した後のはずだ。


 なのに、誰かが勝手に開けて入ってくる。


 全員が固唾を呑んで成り行きを見守っていると、店内に姿を現したのはユキだった。

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