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104/121

104.アンドロイド店員が倒れた

 シオリはカンナの登場に喜んだのも束の間、体調不良のユキが心配になり、カンナに手を振り返すも微妙に力がなく、表情も硬かった。


 ユキは、マサキが言ったことを()に受けてシオリのことをまだ怒っているのだろうか。体調不良は、シオリに会いたくない口実なのだろうか。


 シオリが気を()んでいると、カンナはまだ手を小さく振りながらシオリに近づいてきた。


「お店ではお久しぶりですね。復帰おめでとうございます」


 カンナの様子から察するに、ユキからマサキの発言を聞いていないようだ。


 ホッとしたシオリが「ありがとう」と笑顔を割り増しにして感謝の言葉を返すと、ミキが「ねえ」と横から割り込んだ。


「ユキちゃんは?」


 その問いかけで背筋に冷たい物が走ったシオリは、鼓動が高まる。


「ユキですか? この後、来ますよ。実は、三日前からユキもミキさんたちも来なくなっちゃって、この店来るの、毎日うちだけなんで、寂しいからユキに『今日来る?』って誘ったら、『久しぶりだから行く』って。……でも、なんか元気なくて」


「元気ない?」


「ええ、三日前から塞ぎ込んじゃって。聞いたら『家庭教師と揉めてるのが原因』とかで」


「揉めてる?」


 ミキは眉をひそめ、シオリのこわばった顔を一瞥した後でカンナの方へ向き直った。


「なんで?」


「詳しくは教えてくれないんですが……。来たら()きましょうか?」


「もし()けるならでいいよ。無理にとは言わないから。……ところで、三日前から毎日ここに来てるって言ったよね?」


「はい」


「じゃあ、三日前から()()のは知ってるよね?」


()()って?」


「この店の小説がなかなか出来上がらないってこと」


「え? ミキさん、店に来てないのになんで知ってるんですか? ……ああ、トップページが重いから?」


「いや、そこのお客さんから聞いたんだけど」


「そうなんですよ。めっちゃ重くて、あり得ないくらい書き上がるまで時間がかかるんです。何があったんですかねぇ? 混雑にしては――」



 ドサッ!



 突然、扉付近で何かが倒れたような重い音がした。


 みんなが音の方を向くと、そこにいつも立っているはずのセバス君の姿が見えない。


 ミキとカンナが音のした方へ駆けていく。シオリも後を追いかける。


 そこで三人が見たものは、目を開けて床に倒れているセバス君だった。

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