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10.完全お任せコース

 全コース制覇のミキは、得意げな顔で指を立てたり手を広げたり、アクションを交えて語り始めた。


「完全お任せコースは、例えば『恋愛の短編』という注文だけでOK。時代設定もストーリーも登場人物もお任せなので、どんなお話かは出来上がらないとわからない。だから、恋愛なら何でも読みたいって人向け」


「たったそれだけ!? ごめんなさい、声が大きくて」


「いいわよ。十分BGMに隠れた」


「それで、出てくる――ってか書かれるのはどんな感じの小説?」


「人気作品のいいとこ取りしてるなぁって感じ」


「いいとこ取りって、まさか小説の切り貼り?」


「そうじゃなくって、なんだろ……、人気作品にめっちゃ触発されているなぁって感じ。総じて言えるのは、王道の展開で、お約束もちゃんとあり、ナニコレ的なものはない。そう来るかぁってのも、たまにはあって面白い」


「ある意味、無難?」


「無難ねぇ……。王道、お約束ならそう思うかも知れないけど、手堅い書き方で攻めてくるって感じかな。だって、最初の1ページでブラウザバックされたら、AIだって面白くないだろうし」


「そのAIに感情があれば、ね。……ところで、いくら王道路線でも、当たり外れってないの?」


「それはあるけど、意外に少ない。その外れも、読み返してみると、『ああ、こういうこと言いたかったんだなぁ』というのが理解できて、そんなに外れでもなかったりする」


「つまり、AIがぶっ飛んでいて、私達がついて行けない文章を書くってこと?」


「それは、人間が書いた小説でも同じでしょう?」


「一度読んでわからない作品は、速攻でご遠慮願うわ」


「作家と読者との勝負を早々に諦める口なんだ」


「ところで、AIが書いた作品に評価付けられるの?」


「スルーされた……。うん、出来るよ。5段階評価で。レビューも感想も書ける。小説投稿サイトでよくあるのと、おんなじ」


「フーン。……で、完全お任せコースって、料金はいくらなの?」


「税抜きで1000円。このお店の飲み物はコーヒーと紅茶とソフトドリンクしかないけど、どれ頼んでも全部同じ料金で、頼めば短編なら2冊、中編なら1冊書いてくれる。書き上がると、電子書籍として自分のスマホにダウンロードされる。もちろん、SDカードにコピーとか、配信・拡散は不可」


「ドリンク代引いて、1冊当たりラノベの古本並みかぁ」


「それ系の古本って100円くらいからあって値幅が広いから、何円で納得したのかは不明だけど……。で、ケーキセット1500円を頼むと短編なら3冊、中編なら2冊まで書いてくれる」


「へー。作品の長さって、長編もあり?」


「今んとこ、3万字以下の短編と、8万字以下の中編しかない」


「ってことは、最大16万字で1500円かぁ。ドリンクとケーキ代抜けば、安いっちゃ、安い? ……ところで、読めるのは、このお店の中だけ?」

値段設定が安すぎるとの声もあって、旧作の値段等を変更しました。

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